貿易戦争
出典: Jinkawiki
<貿易戦争(米中貿易摩擦)> 貿易戦争は深刻化の一途をたどっており、米トランプ政権は中国の知的財産権侵害を理由に中国からの500億ドル相当の輸入額に対して25%の追加関税を導入することを決め、すでに一部を実行している。さらに、トランプ政権は、中国からのほぼすべての輸入品に追加関税を課す可能性さえ示唆している。しかし、これに対し中国側は、追加関税以外の手段も駆使してアメリカと争っていくことが可能である。その一つの手段として、為替市場で人民元安を誘導し、中国製品に対する米国製品の競争力を低下させる事である。これにより米国は将来的に、中国国内での米国企業の活動制限、米国製品の不買運動、米国への中国旅行者などが選択肢に入ってくる。 このアメリカを中国の貿易摩擦により、大きな打撃を食らうのが日本である。IMF(国際通貨基金)の調査によるとトランプ政権の追加関税が与える世界経済の影響はとても大きく、世界全体のGDPが2年間で0.5%押し下げられることになる。これはアメリカがすでに実行している鉄鋼輸入制限、中国の知的財産権侵害を理由とした年500ドル相当の中国製品への追加関税に加えて、米トランプ政権が検討している約2000億ドルの対中追加関税、輸入車への25%の関税の今後実際に発動するものを含んでいる。 米中貿易戦争が日本の産業に与える影響としてはまず考えられるものとして、自動車産業があげられる。その理由として、①自動車産業は中国における日系企業の現地生産規模では最大であり、米中貿易戦争の影響から中国経済が悪化した場合に最も大きな影響を受けるからである。②日本の自動車産業は対米輸出依存度が他の産業に比べて大きいため、貿易戦争の結果として、米国の経済が悪化する場合にも大きな影響を被ることになってしまう。米中貿易戦争だけでなく、トランプ政権が自動車輸入関税を課すことを決めれば、自動車産業にはさらに大きな影響となる。いずれの結果にせよ、日本の産業は今後、厳しい局面を迎えることが予測される。
○参考文献 「米中貿易戦争が日本に与える悪影響」 https://www.nri.com//media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/kinyu_itf/2018/09/itf_201809_3.pdf?la=jaJP&hash=E498D1952A3A256DF8C944264926EC49C759774A 「なぜ米国が中国に貿易戦争を仕掛けたか」 https://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/181019ssqs.html (elect)