軍産複合体

出典: Jinkawiki

軍産複合体


意味

戦争で経済的利益を得る政治的・経済的集団で、とくに戦争に迎合する産業に関わっている集団。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典参照) 軍部と軍需産業とが密接に結びつき国内の産業経済に大きな影響力を持っている体制。産軍複合体。MIC。(大辞林 第三版参照) military-industrial complexの訳。軍産共同体あるいは軍部・産業ブロックともいう。(百科事典マイペディア参照)


アメリカの事例

軍産複合体は先進諸国に顕著にみられる事態だが,アメリカにおける国防総省 (ペンタゴン) を中心とする軍部と巨大な軍需産業群との癒着した関係や相互依存体制をさす場合が多い。第2次世界大戦の過程で巨額の軍事支出,税制上の優遇措置,政府の軍需生産施設の貸与や払下げなどを通してアメリカ経済の軍事化が急速に進展したが,戦後も冷戦状況のもとで軍部と軍需産業部門との結びつきは強まり,特に朝鮮戦争以後両者の協力ないし相互依存体制は人的交流や兵器の研究,開発部門にまで及んだ。こうして軍産複合体は政治的,経済的に,さらには研究開発面においても巨大な影響力をもつにいたり,1961年 D.アイゼンハワー大統領が退任演説のなかで「民主主義への脅威」になっていると警告を発したほどであった。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典参照) 巨大化した兵器工業界と軍事技術開発機関,軍事関係議員,軍事ロビイストなどが連携し,自らの利益のために軍拡路線を推進しようとするものであった。(百科事典マイペディア参照) 軍産複合体という用語は、アメリカのアイゼンハワー大統領が1961年の退任演説で軍産複合体の存在を警告して以来、政治用語として定着した。一般に兵器調達は、独特な価格決定、独占的な納入手続き、厳重な機密扱いなど、通常の商取引とは異なる方法で行われるため、軍部と産業界の間で癒着が生じやすい。これに政治家、大学などの研究機関が加わることもある。アメリカは第二次世界大戦では「民主主義の兵器廠(しょう)」とよばれ、連合国側の戦争資材の供給に大きな役割を果たしたが、その反面、経済全体が政府支出、とくに国防支出に大きく依存する体質から脱し切れなくなった。第二次世界大戦後、朝鮮戦争(1950~53)やベトナム戦争(1964~73)によって戦争関連産業が潤った事実をみても、経済の軍需依存を如実に反映している。反面、アメリカの戦争介入は参戦兵士の犠牲が大きく、このためアメリカは地域の安全保障は関係国の自助努力による方針(ニクソン・ドクトリン)に転換したものの、高度先端技術を駆使した軍用機、ミサイル兵器、戦闘車両、艦艇などの供給国としての地位は確保する必要があるため、兵器の内需以外に各国に兵器の購入を迫る、いわゆる外需も併用してアメリカの軍需産業の保持、育成の方針には変わりなく、軍産複合体の体質はいぜんとして続いている。(日本大百科全書ニッポニカ参照)


参考文献

[コトバンク https://kotobank.jp/word/%E8%BB%8D%E7%94%A3%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93-58329]


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