農業法人
出典: Jinkawiki
農業法人
農業法人とは、法人形態で農業を行う組織である。設立は昭和37年頃からで、当初は節税が主な目的であった。昭和45年時点で2700を超える法人が設立されていたが、節税目的のため農業界であまり話題にはならなかった。しかし、昭和も終わりに差し掛かるころになると、農家の跡取り息子が農業をしなくなることで新規就農者の減少が深刻であった。そこで若者の目を農業に向けさせるための策のひとつとなったのが、農業法人である。農業関係者の「農業を会社化することで、サラリーマンと同等の休日がとれるため若者が定着するだろう」という思惑通り、有限会社形式を中心に農業法人の数はそれまで以上のペースで増加していく。2011年時点で法人の数は12000を超えており、農業界でも存在感を強めている。その中で経営能力に優れた農業法人が現れ、彼らがメディアに取り上げられることで若者を中心に農業への関心は高まっている。
農業を変える存在となるのか
農業法人を設立する新規就農者には、他業種で働いた経験を持つものが少なからずいる。彼らには固定概念がないため、それまでの常識を覆す画期的な方法を見つけることもある。プロが培ってきた技術も農業には欠かせないが、農業は生産からマーケティングまでを行うトータルな自営業である。そのため、農業法人が増えることで様々な業種を切り口として農業が変貌していくことも期待される。全国農業会議所の調査によると、新規就農時にかかった初期投資額は露地野菜で475万円、施設野菜(ビニールハウス)で777万である。これだけ投資しても利益が出ると考えられているのが現在の農業法人であり、農業ビジネスへの期待は大きい。しかし、利益ばかりが重視されるようになり、農産物の安全性を損なうような経営方法はあってはならないので、農協との連携などによりプロの技を継承していくことも同時に必要とされるのではないか。
未来を見据えた農業
新規就農者の割合が微増しているとはいえ、日本の農業就業者の平均年齢は年々上昇しており、耕作放棄地が全国各地で続出している。また、小麦や大豆、乳製品など実に多くの農産物を輸入に頼っており、とても自国だけで食料を賄える状態ではない。一方、日本よりも遥かに面積の小さいオランダであってもヨーロッパ屈指で指折りの農業大国として名を馳せている。これは、面積の狭い日本も策を練ることで農業大国になりうる可能性があることを意味する。そのオランダでは、世界で勝つマーケット開発を民間の企業の研究機関が主導する。日本では主に農林水産省が国際的マーケット戦略を行っているが、海外での評判は微妙である。そのため、国際競争で勝つことが出来ず、値段の安い海外産の輸入を頑なに拒むのが現在の日本の閉鎖的農業の姿である。ただ、農業法人の中には世界のマーケットを視察し海外進出に挑戦するものも出てきている。日本の農業が世界から取り残されないためには、マーケティングと農業法人によるビジネス展開が大きな役割を担うことだろう。
参考文献
農業のしくみ 有坪民雄 日本実業出版社
http://www2s.biglobe.ne.jp/~kobayasi/aguri/nougyou.html 日本の農業、現状と課題
HN:じょー