進歩主義
出典: Jinkawiki
進歩主義(しんぽしゅぎ)
○進歩主義とは
進歩主義とは、国家・社会などの矛盾を変革し、より前進しようとする思想で、進歩に一定の高い価値を与える考えのことである。ここでの進歩は、変化という事実に加え、その変化が好ましいものであるという価値判断をも含むものである。
また、人間の精神や文明・歴史などが時を追って、より完全な状態に進歩するとする合理主義的信念のことである。
○教育における進歩主義
19世紀末にアメリカ合衆国から起こった教育改革運動で、ジョン・デューイの経験主義・プラグマティズムを理論的支柱としたものである。1910年代から30年代にかけて最盛期を迎え、50年代なかばに消滅した。プログレッシブエデュケーションともいう。児童中心主義の教育とも関連性が深く、教育を「社会の進歩と改革の基本的手段」ととらえ、旧教育の教師中心主義、教科万能主義に対し、児童の自由・活動・興味・自発性を尊重する児童中心主義の立場にたち、具体的な生活経験を通しての学習を強調する点に特徴がある。デューイは自らの教育理論を実践するために実験学校を設立した。もっとも、デューイは行き過ぎた児童中心主義にも警鐘を鳴らしている。
○進歩主義教育の父
一般にパーカー(Francis Wayland Parker)が進歩主義教育の父といわれ、1896年シカゴ大学に実験学校を開設したデューイがプラグマティズムに基づく進歩主義教育理論を確立した。1919年「進歩主義教育協会」が結成され、進歩主義教育の普及・発展に貢献した。しかし協会の活動は、児童の個性や興味、自己表現を強調するあまり、社会や文化に対する顧慮に欠け、30年代に入ると、この行きすぎた児童中心主義に対し、カウンツらの内部批判や本質主義、永遠主義からの非難・攻撃を浴び、学校と地域社会との関連を重視する社会中心主義への方向転換を迫られた。しかし、40年代以降の保守化傾向のなかで進歩主義教育運動が衰退し、55年、協会はついに解散に追い込まれた。
○日本では
日本においては、特に第二次世界大戦後、進歩主義教育運動が活発に展開されたが、1950年代後半以降、アメリカと同じ運命をたどった。しかし近年、その再評価の動きが現れている。狭い形式主義と児童不在に陥っていた伝統的教育に敢然と挑戦し、児童の自発的活動に立脚した教育観を広く世界の教育界に定着させた進歩主義教育の功績は大きいようである。
<参考文献>
・フリー百科事典ウィキペディア 『進歩主義(教育)』
・デューイ著 大浦猛編 佐藤三郎他訳 『実験学校の理論』 明治図書出版 1977
・カウンツ著 中谷彪他訳 『地域社会と教育』 明治図書出版 1981
・http://100.yahoo.co.jp/
・http://www.weblio.jp/