都市緑地計画
出典: Jinkawiki
都市緑地計画の概要
都市の住民にとって植物や動物が作り出す緑の環境の重要性はますます高まってきており、このことは生活環境に関する国民の意識調査など、各種の世論調査の結果にも表れている。また、都市計画においても生態系に配慮したエコポリスや、資源のリサイクルなどを重視したエコシティの考え方が提唱されており、生物学的に健全な都市づくりが模索されている。このような中で、都市の緑は住民にとっても最も重要な生活環境の1つとなっている。
都市生態系の特性
自然を改変して生物の生活の場を奪い、人間の生活の場を築いてきたのが都市である。したがって、都市の中では生物の種数や個体数は少なくなり、都市の住民は動植物と接する機会を少なくされる。
都市内の生物社会は自然地域の生物社会と比較すると、種数の減少や生育環境の悪化などのゆがみが生じている。このように、ゆがんだ生物社会を都市生態系(urban ecosystem)と呼ぶ。都市環境のもとでは、大気汚染、土壌汚染、水質汚染、地下水位の低下、土壌の貧養化と乾燥化、人為的錯乱などによって植物群落は正常な状態を維持できたくなることが多い。
一般に都市生態系は、自然の生態系と比べて、種数が減少して自然生態系の構成要素が少なくなっていること、帰化植物や帰化動物などの都市環境特有の種が出現すること、初期遷移の群落が成立しにくくなり、退行推移する現象が生じにくくなること、生物的多様性が低下することによって生態系の構造が単純になったことが特徴としてあげられる。
都市化によって貧化した植物群落を多様化するためには、環境の汚染源を除去するだけでなく、様々な緑化手法を用いてより積極的に対応する必要がある。
参考資料
1. 井手久登・亀山章「緑地生態学―ランドスケープ・エコロジー」朝倉書店、1993年
2. 花木啓祐「都市環境論」岩波書店、2004年
H.merida