酸性雨とは
出典: Jinkawiki
1.酸性雨の成り立ち
工場や自動車などのエネルギー源である化石燃料(石炭,石油など)を大量に使用することで
大気中に多くのSOxやNOxなどが放出される。それが光化学反応などにより,酸性物質(硝酸,硫酸)に変化する。酸性雨は,これら酸性物質が溶け込んだ雨,と一般には知られている。雨以外の霧や雪に溶け込んだ場合には酸性霧,酸性雪などといわれるが、本質的には同じものである。
2.酸性雨問題とは
酸性雨問題には、雨水の酸性化以外にもいろいろな問題が含まれている。
たとえば,黄砂のようにアルカリ土壌を含んだ粒子状物質が大気中に巻き上げられ, 酸性雨中の硫酸(H2SO4)などと反応して中和された場合には、雨水としては中性を示すが硫酸イオンなどは残っており,決してなくなったわけではない。 雨水が汚染されたかどうかについてはpHだけで判断するのではなく,雨などに含まれる汚染物質の量にも注意が必要である。
また,汚染物質は雨に溶け込むだけではない。ガスや粒子として直接地上に舞い降りてくる。
広義の酸性雨問題には,こうした現象も含まれている。つまり,「酸性雨」とは酸性の雨だけではなく,人間活動から発生した大気汚染そのものの問題なのである。それら大気汚染物質が,形を変えて落下し,地上に影響を及ぼすのである。
3.酸性雨の影響 ・生態系への影響
酸性雨は土壌を酸性化し、
その土壌から植物の生育に必要な金属イオンが溶け出して森林の生長を止め、 さらに、溶け出した金属イオンは河川に流入して水中の生物に悪影響を及ぼす。
例えば森林の立ち枯れが起こる、建造物が酸性雨によって溶かされるなどである。
・人体へ影響
目・喉・皮膚への刺激といった直接的な被害のほか、酸性雨によって溶け出した化学物質が
食物や飲用水として体内に入り蓄積されると、アルツハイマー病の原因になるとされている。
また、農作物の収量が減る被害もある。
参考文献 岡本 博司 (2011) 『環境科学の基礎』東京電機大学出版局
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