陪審員制度

出典: Jinkawiki

 陪審制(ばいしんせい、英Jury system)とは、一般市民から無作為で選ばれた陪審員(ばいしんいん)が、刑事訴訟や民事訴訟の審理に参加し、裁判官の加わらない評議によって事実認定と法の適用を行う司法制度である。陪審員の人数は6 - 12名である場合が多く、その合議体を「陪審」という。陪審は、刑事事件では原則として被告人の有罪・無罪について、民事事件では被告の責任の有無や損害賠償額等について判断する。現在は主に、米国や英国をはじめとするコモン・ロー(英米法)諸国で運用されている。陪審員は、現在の日本に於ける裁判員にあたる。日本でも、1928年(昭和3年)から1943年(昭和18年)まで行われていた。

陪審員制度は民主主義、国民主権の司法のおあらわれとも言え、世界の多くの国では一般市民の裁判への参加を当然のように実施しているが、日本は民主国家でありながら国民の司法参加を長く認めていなかった。

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目次

米国の陪審員制度

 200年以上も前にアメリカがイギリス国家の影響を避けるために、アメリカ市民による判断を行なうためにイギリスから導入された制度。事件に全く関係ない中立の者を陪審員の条件とした。1787年に制定されたアメリカ合衆国憲法第3編ですべての犯罪の公判は陪審裁判によってなされなければならない旨を規定し、第5修正は刑事大陪審を、第6および第7修正は刑事及び民事事件で陪審を受ける権利を保障した。 その後、陪審は、連邦及び州の刑事、民事事件に広く導入されるようになり、今日まで、アメリカ社会において重要な役割を果たしている。 陪審員は選挙名簿などから常時無差別に選別され、ランダムにその時の事件にあてがわれる。忙しいビジネスマンは陪審員になることを避けるためわざわざ選挙権を放棄する者もいるため、最近は自動車免許証から選別されることが多い。

英国の陪審員制度

 13世紀頃から陪審が刑事事件に用いられるようになった。当初の刑事陪審は証人のような役割を果たしていたが、17世紀ころまでに事実判定機能を持つようになり、18世紀後半には、12名の市民で構成され、大陪審の起訴を受けて被告人の罪責を全員一致で決める制度として確立された。  


日本の陪審員制度

 陪審制度導入に向けて本格的に動きだしたのは、1900年代に入ってから。1909年に起きた日糖事件といわれる疑獄事件と、1910年の大逆事件をきっかけに、原敬が導入を推進した。具体的な制度設計は内閣総理大臣の諮問機関である臨時法制審議会、 司法省の陪審法調査委員会、枢密院の陪審法案審査委員会を経てなされ、1923年、陪審法として成立し、そして、5年間の施行準備期間を経て1928年(昭和3年)から施行された。 時の司法省刑事局は、陪審制度を導入した理由として、政治上の理由(民主主義)と司法上の理由(裁判への信頼の確保)を掲げている。陪審法における陪審員は、直接国税3円以上を納める日本国民の男子から無作為抽出で選ばれた12人で構成された。対象事件は、被告人が否認している重罪事件。陪審員は、有罪・無罪の結論を出し、裁判官に対し「答申」するが、裁判官は法律上これに拘束されず、「答申」を採用せず審理のやり直しを命じることができ、被告人は陪審員による裁判か、裁判官による裁判かを選択することができた。 この法律の下で行われた陪審裁判は484件、無罪率は16.7%であった。   しかし、1943年、陪審事件数が減る一方戦争が激化する中で、陪審制度維持のための労力を削減せざるをえなくなったため、陪審法は停止された。


参考文献

・wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%AA%E5%AF%A9%E5%88%B6

・日米特許最前線 http://dndi.jp/08-hattori/hattori_5.php

・裁判員制度 http://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/about/column1.html

          http://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/about/column1_en.html

          http://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/about/column2.html

・陪審制度を考える 後藤昌次郎 岩波ブックレットNO.190


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