障害者の一般雇用

出典: Jinkawiki

目次

法・政策

雇用・就労の促進政策には、障害者の雇用促進等に関する法律障害者雇用対策基本方針新5カ年計画の「雇用・就業」分野 障害者雇用率制度『福祉から雇用へ』推進5カ年計画などがある。その中でも柱となっているのが雇用率制度である。これは、民間企業、国地方公共団体は一定の割合以上、身体に障害のある人または知的障害のある人を雇用しなければならないとしたもので、雇用率が未達成の企業・地方公共団体には指導をすることにより雇用の増加につなげていくというものである。雇用率の算定方法はフルタイムの困難な短時間労働者は1人をもって1人としてカウント、しかしH18.4.1よりカウントができるようになった精神障害者は短時間労働の場合1人をもって0.5人とカウント、重度の身体・知的障害者は2人分としてカウントする。 また、各法定雇用率は、表民間企業が1.8%、特殊法人、国地方公共団体が2.1%となっているが、実際の雇用率は国2.17%都道府県2.42%市町村2.28%とクリアしているのに対し、特殊法人1.97%と法定雇用率を下回っており、民間企業では達成している企業が43%と半分を切っているというのが現状である。 しかし法定雇用率を達成していない企業・地方公共団体からお金を徴収することによって、その徴収金による障害者雇用納付金制度が成り立っている。これも雇用促進のための制度であり雇用率をこえて障害者を雇用する企業に対する助成や、作業設備の設置等行う事業主等に対する各種助成金を支給することに使われる。 そのほか、企業には特定求職者雇用開発助成・重度障害者雇用促進融資などといった支援や、各種税制措置がある。


就労支援

障害者を雇用する側への支援のほかに、職を求める障害者自身への支援制度もある。 1960年に職業リハビリテーションが実施されたときは、法律上の明確な規定がなく量・質ともに不十分であったが、1987年の「障害者の雇用の促進等に関する法律」により障害者職業センターが法律上の就労支援機関として位置付けられた。 これにより、技術の研究・開発、専門職員の養成を行う「障害者職業総合センター」、医療施設との連携をする「広域障害者職業センター」、各都道府県に1か所設置されハローワークと連携している「地域障害者職業センター」が設置された。 特に地域障害者職業センターでは、障害者一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助等の各種の職業リハビリテーションを実施するとともに、事業主に対して、雇用管理上の課題を分析し、雇用管理に関する専門的な助言、その他の支援を実施している。 また、ハローワークでも職業相談、職業紹介がされており、平成21年度は全国で精神障害就職サポーター47名、障害者専門支援員298名、職業相談員(障害者職業相談担当)62名、職業相談員(障害者求人開拓担当)187名、障害者就労支援コーディネーター134名のほか、手話協力員を配置し、ケースワーク方式のきめ細かい職業相談を実施している。 また、重度障害者のための「障害者職業能力開発校」や「障害者就業・生活支援センター」もある。なお障害者就業・生活支援センターでは、市町村レベルにおける職業リハビリテー章ンの実施や、就業及び日常生活や社会生活上の相談・助言も行っている。 また、トライアル雇用という3ヶ月間の短期間での試行雇用を行える制度もある。


障害者の自立

さまざまな支援制度により障害者の一般雇用数は確実に増えているといえる。しかし企業での雇用状況は圧倒的に身体障害者が多い。 また一週間の労働時間が30時間以上の労働者の月額の平均は、常用労働者が28万円であるのに対し、身体障害者26万8千円、精神障害者15万7千円、知的障害者12万4千円となり、特に精神障害者と知的障害者はその収入の低さが際立ち、障害者自身の収入のみでは自立した生活は望めない。 また、障害者にとって「就職をする」ということによる環境の変化は計り知れない。就職前は周りからの丁寧な対応があり、自分のペースで生活ができ社会と接する機会が少なかったのが、就職後はスピード重視や効率重視な環境におかれ、体力や意欲、持続する力やコミュニケーション能力などが求められる。 こういった環境の変化は、障害者としても就職を難しくしてしまう。 しかし障害のある人については、近年、その就労意欲が着実な高まりを見せていると障害者白書にある。 その中で、より多くの就職希望を実現するとともに、一人ひとりが活き活きとした職業生活を送ることができるようにするため、就労支援について質・量ともに一層の強化を図ることが必要であるといえる。


参考文献

「障害者白書」(H19、H20、H21) 内閣府 障害者福祉論第4版 中央法規 2008


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