障害者自立支援運動
出典: Jinkawiki
古代から中世にかけて、障害者はしばしば遺棄や虐待の対象であった。また、近代にかけても、障害者は最低限かそれ以下の救済がなされるだけだった。しかし、今日は先進国を中心に世界各国では障害者の権利を保護する法整備が進んでいる。そしてそれは、単に国や専門家のみで進められたのではなく、当事者や支援者が社会や行政に働きかけた結果、制度がつくられ施策が新たに取り組まれてきた歴史がある。障害者自立支援運動とは、その障害者を支援するために社会に働きかけた運動のことである。
障害者自立支援運動の展開
日本国憲法の制定(1946年)により,社会福祉に係る基本的な法律が定められた。
1948年 児童福祉法
1950年 身体障害者福祉法,生活保護法の施行
1951年 社会福祉事業法(現・社会福祉法)
この年代は、障害や疾病のなかでも比較的数の多い障害者や患者団体が設立され、戦中に活動を停止していた団体の再建がなされている。
1958~1961年 ポリオ(脊髄性小児まひ)が大流行し、肢体不自由児者が増大。
1958年 日本身体障害者団体連合会,全国脊髄損傷者連合会 発足
1960年 精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)
→精神薄弱(知的障害)関係者の運動が実る。
1957年 青い芝の会結成
→重度の脳性まひの患者による会。
1962年には初めての厚生省陳情を行い、昭和30年代末には各地で座り込み等の激しい抗議やアピールを行った。重い障害のある人
々らの問題提起の運動が長く展開されることになった。
1964年 東京オリンピックの直後にパラリンピック東京大会が開催される。
→日本の身体障害者スポーツ振興の出発点となる。
1970年 心身障害者対策基本法
→全国社会福祉協議会・心身障害児福祉協議会の国会請願運動が実る。
1973年 第1回車椅子市民全国集会
→仙台で開催。障害者の住める街づくり運動が全国に広がっていく契機となる。
1981年 国際障害者年
→障害者の自立、所得保障、精神障害者の社会復帰などの課題に当事者は積極的に運動を行い、社会的にも大きく取り上げられる。
国際障害者年により、海外の障害者との交流も活発に行われ、この動きと従来からの諸団体の活動と併せて、以下の各法の改正などにつな
がっていった。
1984年 身体障害者福祉法の改正
1986年 障害基礎年金制度創設
1987年 精神衛生法から精神保健法への改正
身体障害者雇用促進法から障害者の雇用の促進等に関する法律への改正
1993年 精神障害者団体の誕生
→この年代で精神障害者の動きが徐々に活発的となり、日本の歴史上初の全国的な精神障害者団体。
この流れにより、1993年心身障害者対策基本法から障害者基本法に改正。
2006年 「障害のある人々の権利に関する国際条約」が国連議会で採択
→2003年より日本の障害関係団体も条約を検討する特別委員会に参加し、現在は日本での条約批准に向けて活動している。
参考文献
『新・社会福祉士養成講座 障害者福祉論』福祉士養成講座編集委員会編 中央法規出版
(投稿者:chi*)