電話相談
出典: Jinkawiki
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概要
電話の基本的特性は、即時性、即応性、広域性、簡便性を有している点にあり、誰でも必要なときに、どこからでも気軽に利用することができる。これらは、すべての電話相談のもつ機能的な特徴を表しているということができるだろう。一般的なカウンセリングの場合では、来所相談が主流であるが、多くの場合、来談にいたるまでの過程は決して平坦ではない。カウンセリングを受けることは、自分の精神世界に他者が侵入することを意味するからである。これに対して電話相談は、かけて手が自分の都合のよいときに相談をはじめ、そして自分の手で終えることができる。すなわち、電話相談はクライエントが相談のイニシアティブをとりながらカウンセリングを受けられるという特性を持っているわけである。
危機介入の手段としての電話相談
電話相談には、「教育相談」や、高齢者を対象とした相談。あるいは外国人のための電話相談のように、相談範囲が広域にわたるものと、「いのちの電話」「ヤングテレフォン」「精神科110番」など、特定の相談を対象としたものに分類することができる。ことに後者は、自殺や暴力、パニック発作などの緊急を要する状況へ介入することが目的とされ、適切な対応によって功を奏することが少なくない。つまり、電話相談は、その機能的特性を生かした危機介入の有効かつ唯一の手段といえる。
電話相談は「治療」になりうるのか
前述のように電話相談はかけ手の恣意によって一方的に断ち切ることのできる性質を持っているため、治療的接触にはなりにくいと考えられる。しかしながら、かけ手が継続的に接触を続けてくる場合、カウンセラーが、かけ手の自我の強さや病態水準などに関する情報を正確に把握していることを前提として、かけ手の人格の再構築化を援助できる可能性を持っているといえるかもしれない。
参考文献
坂野雄二(編) 臨床心理キーワード[補正版] 有斐閣双書,2000