非戦論
出典: Jinkawiki
戦争を否定し、戦争を行わないとする論。
日露戦争(1904~05)にいたる過程で、主戦論に反対して「万朝報」を中心として社会主義者の幸徳秋水・堺利彦、クリスチャンの内村鑑三が非戦論を主張した。
内村鑑三は〈余は日露非開戦論者であるばかりでない。戦争絶対廃止論者である〉とのべ、戦争は人を殺すことであり、そして人を殺すことは大罪悪であると世のなかに訴えている。しかし「万朝報」主筆黒岩涙香が主戦論に転じたため、前記3人は脱退し、平民社をつくり、週刊「平民新聞」を発刊して、反戦、戦時増税反対論を展開した。そして『嗚呼増税』を出し、ただちに発禁処分をうけている。内村鑑三は雑誌「聖書の研究」によって戦争を否定し、木下尚江は平民社に属し『火の柱』『良人の告白』などの非戦小説を書いている。この二人の非戦論は、一部の人にしか影響を与えていないが、それでも野心ある政治家、功名にはやる軍人、狡滑な新聞人に対しては鋭い告発となっている。