黒人差別をなくす会
出典: Jinkawiki
黒人差別をなくす会とは、日本の大阪府在住の有田利二の家族三人が日本における黒人差別撤廃を目的として1988年8月11日に結成した市民団体である。母・有田喜美子(会長)、父・有田利二(副会長)、書記兼会計・有田太(長男)。
1988年7月『ワシントン・ポスト』“Old Black Stereotypes Find New Lives in Japan”で、都内百貨店に飾られた黒人のマネキン人形を「差別的」と報じた記事が載った。有田利二はその記事で、日本に多くの人種差別的な商品が売買されていることを知り、また、当時10歳の長男もこの人形は差別的な表現に当たるのではないかと思ったことがきっかけで、家族三人で「黒人差別をなくす会」を結成した。有田利二は元々、部落差別反対を訴える組織に所属していたという。こうして、黒い肌や分厚い唇など黒人の身体的特徴を誇大化した玩具、土産物、文学作品など「黒人グッズ」の調査を開始し、「わずか2・3日で百数十点も集まった」という。(絵本の「ちびくろサンボ」もこの過程で見つけ、出版各社に「黒人を傷つける本はこれ以上つくらないでください」と改善を求める手紙を送って絶版にしている) 主な活動内容は、「なくす会」が黒人差別表現をしていると思ったキャラクター、漫画、アニメーション、出版社、企業などに対して抗議文を送りつけるというものである。「差別する意図はなくても、黒人は傷ついている。私たちがそれを代弁したかった」と有田氏は話していた。しかし、同会に批判された出版社がオープンに議論を行おうとしてもそれに応じることは無く、出版社や作家に対して抗議文を送り続けるだけという手法に対しては卑怯だとの批判もある。
「ちびくろサンボ」の絶版の他には、黒人がストローで乳酸飲料「カルピス」を飲むところをデザインした商標マークを肌が真っ黒でやはり唇が厚いとして廃止。「♪棒が一本あったとさ」で始まる絵描き歌で知られる「コックさん」の挿絵も黒人奴隷を連想させるとして改訂させた。また、黒人を扱ったキャラクター人形「だっこちゃん」の発売停止、手塚治虫展での展示品の差し替え、黒人をイメージさせるオバケを登場させた『オバケのQ太郎』の一部回収、鳥山明『Dr.スランプ』や秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の黒人キャラの肌を白く修正させたりている。手塚治虫全集には、こうした抗議を反映して、巻末に編集者の断り文が掲載されている。そして2002年には『ドリトル先生』作中にニガー川などの差別的表現があるとして抗議をしている。
このような「黒人差別をなくす会」の活動は、漫画・挿絵などに登場する黒人差別的発想からくる黒人系キャラクターを是正したと評価されているが、その一方で、こうした活動による「顔が真っ黒で唇が分厚い」という黒人表現のタブー化が、漫画や挿絵における黒人の存在そのものを排除せざるを得ないことになってきているという意見もある。また、直接抗議もしくは自主規制により黒人が登場する過去の作品が封印される結果にもつながっているため、当該作品のファンからは批判的意見が頻出している。