黒人差別3

出典: Jinkawiki

アメリカ黒人の歴史

アメリカ黒人の歴史は、奴隷であった時代と奴隷制が廃止されて以後の2つの時代に分けられる。 前者は約250年続き、後者は現在まで約150年が経過した。 自由の地位を得てからも、元の奴隷及びその子孫であった黒人たちは、平等な待遇を得られたわけではなかった。 アメリカ社会がすべての国民に約束している自由と平等を得るまで、彼らは長期間待たなければならなかった。 彼らがアメリカの夢の達成に参画する資格があることが広く認められるようになったのは、20世紀の半ばを過ぎてからである。 長い道のりを経て、2009年にアフリカ人を先祖に持つ初めての大統領バラク・オバマが誕生した。 それは、アメリカ合衆国の歴史にとって、画期的な出来事であった。

黒人取締法

黒人の労働力を必要とする南部の白人農園主たちは、なんとか奴隷制度廃止の影響を最小限にとどめ、黒人を自分たちの支配下に置き続けたいと考えていた。 その結果、1865年に南部諸州の州議会は「黒人取締法」という法律を制定したのである。 例えば、ミシシッピ州では、黒人は許可なく農園の敷地内を出ることができず、黒人をむちで打つことも認められ、酒を飲むことも禁じられた。 また、サウスカロライナ州では、黒人労働者は「使用人」として扱われ、奴隷時代のように週に6日、夜明けから日没まで主人のために働かなければならないとされた。 解放されたはずの黒人の権利は、そうした段階にとどまっていたのである。

キング牧師の登場

アラバマ州の州都モンゴメリーの市営バスの車内には、目に見えない境界線があり、前方には白人、後方には黒人が乗る決まりになっていた。 白人の数が多い場合、黒人は席を譲らなければならなかった。 1955年12月1日、全米黒人地位向上協会の活動家ローザ・パークスがバスの車内で白人に席を譲ることを拒んだ。 以前から彼女に敵意を持っていたそのバスの運転手は、警察を呼ぶと彼女をおどしたが、彼女は「どうぞご自由に」と答えた。 パークスは即座に逮捕され、その知らせが伝わると、自発的なボイコット運動が起きた。 この運動を持続させるために、モンゴメリー改良協会がつくられ、指導者には、モンゴメリーで働き始めたばかりの26歳の牧師マーティン・ルーサー・キングが選ばれた。 彼が選ばれたのは、まだ若く無名で、敵がいなかったためである。 キングは、町の中心にある教会で、バス・ボイコットの正当性について演説を行なった。 人々はこの演説に熱狂し、歓声をあげた。

<参考> 『アメリカ黒人の歴史～自由と平和の長い道のり～』(2010)　著者　パップ・ンディアイ