ALS2

出典: Jinkawiki

 ALSは、1869年にフランスの脳神経内科医のシャルコー(1825~1893)によって初めて報告された病気で、日本語で筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)と呼ばれている。日本では現在、原因不明の難病として厚生労働省によって特定疾患の一つに指定されている。

(ALSの意味)

 Aはアミオトロフィック(Amyotrophic)の略で筋肉が縮むこと(筋萎縮)を指す。    

 Lはラテラール(Lateral)の略で側部を意味し、脳から下りてくる上位ニューロンの束(錐体路)が脊髄の左右の側面(側索という場所)を通ることから来ている。つまり側索  は、脳から脊髄に運動をするようにという命令が下りてくる通り道のことである。    

 Sはスクレローシス(Screlosis)の略で壊れたあとが硬くなって働かなくなってしまうという意味である


(ALSの概要)

 ALSは、筋肉の動きを支配する脊髄の運動ニューロン(運動神経細胞)が侵されることで発症する病である。私たちは日ごろ手足や顔などの筋肉を、自分の思いどおりに動かしているが、この筋肉を随意筋といい、この随意筋を動かしているのが、脳からの命令を受けた運動ニューロンである。運動ニューロンとは運動神経細胞のことで、この細胞が侵されると、筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなり、筋肉を動かしにくくなったり、筋肉がやせ細ったりしてくる。これがALSという病気である。ALSは進行性の病気で、今のところ原因が分かっていないため、有効な治療法がほとんどない予後不良の疾患と考えられている。  この病気は、アメリカ合衆国のルーゲーリックという有名な野球選手がALSにかかったことから、別名「ルーゲーリック病」と呼ばれたり、発見した医師の名前からフランスでは「シャルコー病」とも言われ、現在、日本には平成17年度の統計で約7,300人の患者がいる。  また、ALS発症年齢は、一般に40~60歳代を中心に、10万人に2~6人の割合で発症し、90%以上が孤発性(遺伝とは無関係)であるとされている。 日本では50~74歳の年齢層に集中しており、男女とも発症のピークが65~69歳で、この傾向は欧米諸国でも変わりがない。男女比は1.3:1という国内のデータがあり、米国でも1.5:1の割合で男性に多く発症するといわれている。


(病因)

   ①グルタミン酸による運動ニューロン障害説

  ②SOD1異常酵素により過剰に生成された遊離基(フリーラジカル)による障害説

  ③ニューロフィラメント異常説

  ④神経栄養異常説 の4つが現在では言われている。


(症状)

 一般的には、はじめに手足が動きにくくなるタイプと、しゃべったり飲み込んだりという、口の中が先に動かなくなるタイプとがある。手足から先に動きにくくなる場合が4分の3くらい、4分の1くらいの方は口から始まり、最終的には手足と口の両方に障害が進む。  症状の典型的なパターンとしては、どちらかの足の力がだんだん弱くなってきて、反対側の足に広がり、次に手の力がなくなってくるというものと、手から始まって徐々に足に広がるものがある。しかも手足では、からだから遠い部位の筋肉の力がまず弱くなり、痩せて来て、そのうちに食物を飲み込みにくくなってくる、しゃべりにくくなってくる、という症状が出てきて、からだ全体の筋肉の力が2~4年くらいで弱くなるために息苦しさを感じるようになる。さらに進行すると、呼吸が困難になり、人工呼吸器をつけるというのが一般的な経過である。また、手足の力がなくなるのと同時くらいに言語障害、飲み込みが悪くなるという場合もある。(ただし、知覚神経(熱さ冷たさ・痛みかゆみなど)、意識、知能は、別の合併症の無い限りは正常に保たれる。)


(引用・参考文献)

 日本ALS協会 http://www.alsjapan.org/contents/index.html

 ALS/LIVE TODAY FOR TOMORROW  http://www.als.gr.jp/

 「尊厳死か生か ALSと過酷な生に立ち向かう人びと」(日本教文社) 編著:畑中良夫


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