COP15
出典: Jinkawiki
今回のコペンハーゲン会議の会期は、2009年12月7日から2週間行われ、2週目に来る大臣給のハイレベル会合までに、事務レベルで技術的なところはまとめておき、最後の判断をハイレベル会合に委ねる形で進められた。
国連気候変動コペンハーゲン会議は、正確に言えばCOPとCOP/MOPの2つの会議が同時に開催された会議であり、それぞれの意味を説明すると、まずCOPは、「締約国会議(Conference of the Parties)」の略で、国連気候変動枠組条約の締約国会議という意味である。今回は、その第15回目に当たったので、COP15と呼ばれた。
もう片方のCOP/MOP(もしくは更に縮めてCMPとも書く)は、「締約国会合として機能する締約国会議(Conference of the Parties serving as the Meeting of the Parties)」の略で、京都議定書の締約国会議という意味である。今回は、その第5回目に当たっていたので、COP/MOP5もしくはCMP5と呼ばれた。
今回のサミットでは、地球温暖化の原因であるCO₂の削減目標として、2020年までに、日本25%(1990年比)・ロシア25%(1990年比)・EU20~30%(1990年比)・アメリカ17%(2005年比)・中国40~45%(2005年GDP比)・インド20~25%(2005年GDP比)という数値が設定された。ぱっと見ただけだと、中国はCO₂を大きく減らし、一番CO₂を排出していると言われているアメリカは目標数値が少ないという印象を受けがちだが、実際は違う。よく見てみると、日本・ロシア・EUは1990年と比較して、これ以降CO₂を約25%削減するとある。1990年代、高度経済成長期を終え、それぞれの各国で技術力が発展、工場等での製造活動が盛んになり、CO₂の排出量が多くなった。しかし、2009年になると地球環境問題も少しずつ大きく取り上げられるようになり、1990年代よりもCO₂排出量が減少している。つまり、「25%減らします」といったところで、年代によってその年のCO₂の排出量が異なるわけだから、削減目標に掲げている数値のうち、実際に減らさなくてはならない排出量は25%でないということになる。同じように考えると、アメリカの削減目標の17%は、今までCO₂排出量削減に積極的に参加してこなかったアメリカとしては難しい目標である。また、中国の40~45%やインドの20~25%という削減目標は、2005年GDP比ということで、現在発展途上中であるにもかかわらず、積極的にCO₂排出量削減に参加しているように見えるが、実際には発展している国のGDPは毎年増加していくので、結局のところ、削減どころかCO₂排出量が増加していても目標達成しCO₂を削減したように見えてしまうという落とし穴がある。いずれの参加国もCO₂排出量は国の発展・技術力向上を意味するため、削減するということは生産量や収入を減らすことにつながる。この問題は各国がなるべく避けたいのが本音であるために難しい問題である。
先進国、途上国それぞれ、多数の争点を含んでいるが、まず先進国と途上国の間では、
1. 京都議定書を離脱したアメリカがどのように2013年以降の枠組みに参加するのか
2. 途上国は、どのような形で2013年以降の枠組みに参加するのか
という2つのプロセスの“進め方”自体について意見が対立している。先進国側は、
1. 京都議定書にはアメリカが参加していないこと
2. 成長著しい途上国がどのような対策をとるのかも踏まえなければ、温暖化防止にはつながらないこと
等を理由に、2つのプロセスを一本化するか、もしくは両方のプロセスを同時並行で議論するべきとの主張をしている。一方、途上国側は、温暖化を引き起こしてきた歴史的責任は先進国にあり、まずは先進国が対策をリードするべきであることを理由に、議定書AWGの議論を先行させ、先進国の削減目標を先に決めるべきであるという主張をしている。こうしたプロセスに関する意見の不一致は、時としてそれぞれのプロセスの中身である、種々の論点に関する議論にも影響を及ぼしてきた。今回のコペンハーゲン会議でも、こうしたプロセスの進め方に対する意見の不一致から、議論が膠着状態に陥ることがあった。
参考文献:「南極発・地球環境レポート」 著:斉藤 清明
http://www.wwf.or.jp/activities/2009/12/779821.html
http://www.wwf.or.jp/activities/climate/cat1259/2009cop15cmp5/