NCLB法

出典: Jinkawiki

NCLB法

「どの子も置き去りにしない法」(No Child Left Behind Act,以下「NCLB法」)は1983年の「危険に立つ国家(A Nation at Risk)」刊行後に全米に広がった学力向上を目指した連邦教育法である。国民の納得できるように説明する義務をもつことを重視した改革を推進してきたアメリカにおける、学力格差是正のために連邦政府の役割を大幅に拡大した過去に例をみない歴史的なもの。1965年に制定された「初等中等教育(Elementary and Secondary Education Act, ESEA)」の最新の改定法である。ジョージ・W・ブッシュ前大統領が2001年1月就任後の公表し、同年9月11日の同時多発テロ直後の12月に連邦会議上下両院の超党派の支持を得て可決された。翌2002年1月8日に大統領が署名して成立し、2003年度から実施されてきた。

NCLB法の最大の功績は「所得」「人種」「障害」「英語学習者」などを期にした学力格差是正を明確な目標として打ち出したことであり、置き去りにされてきた生徒たちの問題が改めて注目されるようになったことである。

問題点は所得の低い、学力も低い生徒が集中する都市部の学校も、裕福で学力の高い生徒が集中する郊外の学校も、同一の習熟の基準によって評価されているが、長年続いてきた学力格差を、結果責任を厳しくするだけで是正できるという前提こそが大きな問題である。また障害のある児童、生徒や英語を母国語としない生徒も同一の基準で満たさなくてはならないという規定も現実的ではないものである。

しかし、この教育方法をもちいることで新たな視点、改めて考えさせられることが見いだせたことは事実である。新しいことを行うには必ず何かしらの問題点は浮上するものなのだ。そういった意味ではNCLB法は称賛もされている点も多く良い方法であったのだと解釈することができる。問題点もたしかにあるが明確に分かっているので、逆に改善もしやすいのではないだろうか。


参考文献 吉良直「どの子も置き去りにしない(NCLB)法に関する研究 : 米国連邦教育法の制定背景と特殊性に着目して」



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