OPEC2

出典: Jinkawiki

OPECは1960年9月にイラクのバグダッドで設立された。OPECは石油輸出国機構のこと。中東の原油は長いこと欧米のメジャーズと呼ばれる国際的石油資本に支配されてきた。メジャーズが勝手に中東の原油価格を引き下げたことに反発し、中東を中心にした5か国がメジャーズに対抗して共同行動をとり原油の利権を守ることを目的に設立された。設立当時のメンバーはイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの五か国。その後カタール、インドネシア、リビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドル、ガボン、アンゴラが次々と加わった。その後、一度活動を停止していたインドネシアが2016年1月に再加盟したが、減産方針に反対し加盟を再び停止したので現在13か国が参加していることになる。OPECの原油減産はリーマンショックで世界の景気が低迷した2008年以来8年ぶりのこと。当時は世界経済の不況により原油生産を減らして価格を引き上げようとしたが、いま世界経済はそれほど深刻ではない。しかし原油価格が下がる要素が多く存在する。まず中国経済の減速。高度経済成長が続き、石油需要が逼迫してきたがここにきて急ブレーキがかかっている。一方でアメリカがシェールオイルの採掘でサウジアラビア並みの産油国になった。原油の需要が減っているのに生産が増えているので値段が下がるのは当たり前。そこで原油国としては石油の生産を減らして価格を上げようというわけだ。OPECの原油減産は日本にも影響がある。まずガソリン価格が上昇。原油価格が上がると電気代が上がる。あらゆるものにコストがかかるので生活や企業の収益を圧迫しかねない。


日本企業へのプラス面も しかし悪いことばかりではない。原油価格の上昇は様々な資源価格の上昇につながる。そうなれば資源国のロシア、ブラジルなどの経済が上向くことになる。そういう国の経済が上向けば日本の輸出企業にプラスになる。原油安の影響で金融市場から引き揚げていたオイルマネーが再び流入し株取引が活性化する可能性もある。オイルマネーが金融市場に戻れば世界的な株高につながるかもしれない。OPECの原油減産はプラス面、マイナス面があるが、世界経済に影響を与えることはたしかである。


参考文献 池上彰(2017)『一気にわかる!池上彰の世界情勢2017』 毎日新聞出版 投稿者ほわすー


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