PISA型学力
出典: Jinkawiki
PISA型学力
OECD-PISA調査とは
21世紀に入ってこの数年、わが国の教育に関しては、学力低下の議論が続いている。学力の問題が関心を引くようになった端緒の一つが、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心とした、生徒(15歳児)の学習到達度調査(Programme for International Student Assessment:PISA)の結果であった。 2000年の第1回調査では、日本は平均得点の国際比較で、総合読解力の領域で31カ国中8位、数学的リテラシーの領域では1位、科学リテラシーの領域で2位という結果が示された。 マスコミ等の議論では、総合読解力の8位という結果が取り上げられ、学力低下の客観的指標として暗伝されることが多かった。また、総合読解力の領域で1位となり、義務教育で「世界一」という評価を受けたフィンランドの教育のあり方にも関心が集まった。
調査結果が示すものは
2003年に行われた第二回の調査の結果は、総合読解力が41カ国中14位、数学的リテラシーは6位、科学的リテラシーは2位で、読解力の低下が明らかとなった。 しかし、この結果はそれほど衝撃的なものとしては受け入れられなかった。むしろ、この調査によって示されるものは何なのか、それが測ろうとしている能力あるいは学力はどのようなものなのかという面が関心を集めた。現在では、PISAによって測られる学力、PISAが問題にしている学力として「PISA型学力」という言葉が、学力議論の中で使われるようになってきた。
PISA型学力の特徴と日本での学力議論への示唆
PISAとそこで扱われている「学力」の性格を考えると、その順位の上下に一喜一憂したり、順位を上げるために、子どもたちや先生の尻をたたいたりすることには、あまりいみがないと言わざるを得ない。 もともとPISAは、世界各国の連携協力の上に、それぞれの国が経済的発展を実現していこうというOECDの事業の一つとして推進されており、「各国の子どもたちが将来生活していく上で必要とされている知識や技能が、どの程度身についているかを測定」することを目的としている。そのため、それぞれの国が定めている学校教育カリキュラムの内容をどの程度習得しているかどうかを調査するものではなく、「生徒がそれぞれ持っている知識や経験をもとに、自らが将来の生活に関係する課題を積極的に考え、知識や技能を活用する能力があるかを見るもの」となっている。 1回ごとの調査で学力が上がった下がったと騒ぐのではなく、それぞれの調査が示すものをよく吟味し、自分たちの社会の将来を考えたときに、何をすることが必要なのかを議論することが、本当の「学力議論」であろう。そしてPISA型学力は、それを考える大きな手がかりになる。
参考文典:最新教育キーワード137 2007年 時事通信社
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