PISA型読解力
出典: Jinkawiki
1. PISA型読解力の定義
OECD(経済協力開発機構)の定義によれば、読解力(Reading Literacy)とは「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」である。 また、日本で表現される「読解力」は、
「あくまでも書かれた文章を、筆者の目的と意図に応じて正確に読む力と、読み手の目的に応じて文章の中から必要な情報を取り出すこと、そして文章を正確に読んで自らの感動や主観的な気づきを感じることを意味していた」(「フィンランド・メゾットの学力革命」田中博之 著 P15 L38~)である。
その違いは、文章を理解するだけでなく、「解釈・熟考」が含まれていること、テキストを利用し、自分の意見を論じたりすること、テキストの構造・形式や表現方法についても読み取ること、図やグラフ、表などの「非連続型テキスト」も対象としていることなどである。しかし、日本での入試や学校の単元テスト、定期テストで問われていたのは一義的に定まる正解を問う設問である。
だから、日本で求められていた「読解力」とは確実に異なる読解力であるために、文部科学省は「PISA型」という文言を付け足した。
2. PISA型読解力の特徴
①社会で活きる言語能力
ペーパーテストにおいて解答できる範囲内の言語力ではなくて自らの考えを基にしてスピーチをしたり、環境や福祉といった身近な問題について、資料を活用しながら自分の考えを表現する言語能力である。
②テキストからの情報を活用できる能力
客観的に情報を取り出すのではなく、それを活用し自分の考えを持つこと、また情報を利用し、地域社会で多用な価値観をもつ者と相互理解しあえるような能力である。
③テキストの中の知識や情報を問題解決に利用できる能力
多用な情報や知識を社会や人生での問題解決となるような判断材料にしながら、主体的に考えられるような能力である。
3. 日本の「PISA型読解力」の現状
2000年の調査結果では6位であったが、2003年の結果は14位であった。また、2007年末には15位に低下したことがマスコミを通じて大きく報道された。
現在の調査結果からわかる「PISA型読解力」については、多用なテキストを読み、そこから必要な知識や情報を正確に読み取る力は十分あるのだが、テキストに書かれた情報を「活用」する能力が乏しいといわれている。
文部科学省は読解力向上のため、ワーキンググループをつくり、「読解力向上プログラム」を作成した。
このワーキンググループは読解力を向上させるために授業改善点を3点挙げている。
① テキストを理解・評価しながら読むこと
② テキストに基づいて自分の考えを書く力を高めること
③ さまざまな文章や資料を読む機械や、自分の意見を述べたり書いたりする機会を充実すること
(「フィンランド・メゾットの改革」 田中博之 著 P19 L30~)
参考文献&URL
「フィンランド・メゾットの改革」 田中博之 著 明治図書
[[ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/siryo/05122201.htm ]]
「小学校学習指導要領解説 総則編」 文部科学省 (2008)