PISA9
出典: Jinkawiki
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PISAで測れる学力
TIMSSは、学校教育で学習した知識や計算などの技能を出題していた。ところが、国によっては、何年生で習うかは違う。学習する学年が異なる項目もあれば、求められる知識や技能は国によって異なる。そのため、知識や技能を比較することはできなかった。
より比較可能に近づくためにできたのがPISAである。PISAは知識の有無や知識の操作を出題の半分とし、後の半分は、「知識と能力、経験をもとに、将来の実生活に関係する事柄に対処するか」などに関して、「自分で作り上げ、文章あるいは語句で表現する自由な記述式の問題」とした。実践力や応用力、思考力や創造性を重視して評価するということだ。
PISAが求めた学力
学力テストとは一つの正解しかないというような質問に答えさせるのが一般的だ。
PISAは、思考力や問題解決力、社会における具体的な解決に積極的に参加する能力を測ろうとした。状況を設問として、解答者自身がその中からまず問題解決ン必要な情報を拾い、それらを構成して問題の状況を自分で判断することが始まりだ。問題状況には様々な意見・立場を長所・短所に分けて多面的に評価する。そして、一解決の過程の判定は重要な対象となる。解決しがたい問題は、長期的に問題を解決していく見通すところまで展望させる。
つまりPISAが求めた学力とは判断力だったのだ。
PISAが示す教育環境の実態
学力と生活実態調査をしたところ、勉学態度や経済的格差などの指数と学力との関係があった。
カナダ、フィンランド、日本、韓国、スウェーデンの結果は高く、成績水準と学習成果の社会的平等が結びついた可能性がある。ドイツやアメリカは国としての平均的な成績はあまり高くなく、優秀な生徒と成績の悪い生徒との間の格差も非常に大きかった。つまり、中等教育を進路別、学力別に学校を分けて行うような分岐型学校教育制度のほうが、全体としての学力は低かった。学力の高いフィンランドやスウェーデンは、どこの学校に行っても同じように学べる教育体制を作り上げていた。PISAの最大の功績は、平等の高学力とは矛盾しないと指摘したことだ。学校や経済的背景を平等にすることによって、国民の平均学力は高まるということを事実に基づくデータで証明した。
参考文献
福田誠治著「競争やめたら学力世界一 フィンランド教育の成功」(2006)朝日新聞社