Sfyria (口笛言語)
出典: Jinkawiki
- 概要
- Sfyriaとは、ギリシャのエンヴィア島アンティア村で話されている口笛言語。
- Sfyriaという名前は、ギリシャ語で口笛とあらわす”sfyrizo”から来ている。
- 起源
- Sfyriaの起源にはいくつか説があり、その内の一つは、約2500年前にペルシア戦争最中におけるサラミスの海戦で、逃げてきたペルシャ人兵士たちによるものという説がある。彼らは古代ギリシャ人たちの復讐を恐れ、言語ではなく口笛でコミュニケーションをとっていたと考えられている。
- また、ビザンティン帝国時代に敵と海賊による危険を知らせる秘密言語として発達した説や、古代アテネ時代に村の山の上にいた見張り兵士が帝国に対する攻撃をいち早く知らせるための信号として口笛を使っていたという説もある。
- Sfyriaが外の世界に見つかったのは1969年のことだった。飛行機がアンティアの後ろにある山に墜落し、その乗組員たちがパイロットを探しだそうとして見つけたという。
- 地理
- ギリシャのエンヴィア島、オチ山の中腹にあるアンティア村でSfyriaは使われている。
- 道路、水道と電気は約30年前にやっと開通し、今でも村の半径4km以内にホテルやレストランはない。
- 言語
- Sfyriaは、世界で最も消滅の危機に瀕している言語のうちのひとつである。
- 現在では世界で6人だけがこの言語を話すことができる。
- また、ユネスコによるとヨーロッパで最も危機的状況にある言語である。
- 今日世界には約70の口笛言語が存在するが、それらはすべて山村の言語だという。
- 各言語の地理・歴史や構造は異なるが、他の口笛言語もまた危機的状況にあることに変わりはない。
- 一般的に、口笛言語は真似をして話すことが非常に難しいため、発音言語よりもずっと消滅しやすい。
- 口笛は発音とは異なるため、その音はおよそ4km先まで届き、人が叫んだ時と比べて10倍以上は遠くまで届く。
- ギリシャの山村で羊や山羊を放牧する人々が、山を越えてコミュニケーションを図る方法として数百年間使われてきた。
- 消滅危機
- 数十年間に村の人口は250人から37人に減少した。アンティアのような、小さな山村には雇用がないため、若者は外の町へ移住し、同じように若いSfyria話者たちも村を離れた。
- もともと小さな山村であったが、さらに過疎化・高齢化が進んだ。
- 現在、村には子供はほとんどいないという。
- 口笛言語にとって、話者の高齢化は致命的な問題である。高齢の話者たちは次第に自分の歯を失い、口笛が吹けなくなってしまうのである。
- Sfyria話者のPanagiotis Tzanavaris氏は、Syfriaの復興のために2010年に『アンティア文化組織』を立ち上げ、村の閉鎖された学校の一室を使って活動している。
- 同氏は、今まで村の伝統により厳しく守られてきたSfyriaの吹き方を他の町の人々に教えている活動を行っている。
- 近年では、ハーヴァード大学とイェール大学の言語学チームを迎え、後の世代のために話者たちの口笛を記録した。
- 参考文献
Stein, Eliot. “Travel - Greece's disappearing whistled language.” BBC, BBC, 1 Aug. 2017, www.bbc.com/travel/story/20170731-greeces-disappearing-whistled-language.
Meyer, Julien. “【英語で読む日経サイエンス】2017年05月号「口笛言語」.” 日経サイエンス, Feb. 2017, www.nikkei-science.com/?p=52946.
“This ancient whistling language is in grave danger of dying out.” PBS, Public Broadcasting Service, 5 Sept. 2017, www.pbs.org/newshour/show/ancient-whistling-language-grave-danger-dying
H.N.(編集者) あんのう