WWF

出典: Jinkawiki

はじまり

アフリカでは、野生生物の生息地の急速な破壊と、20年以内にほとんどの動物を絶滅させるかのような勢いで、乱獲が行なわれていた。 1948年のIUCN(国際自然保護連合)の設立に貢献し、ユネスコの初代事務局長も務めたハクスリー卿は、この現状に非常な危機感を抱いた。そしてイギリスに帰国後、『オブザーバー』紙に、これらアフリカの現状を警告した三つの記事を執筆した。 このハクスリー卿の記事は、自然保護が重大な問題である、という事実を、多くの読者に気づかせるきっかけとなった。ハクスリー卿は、記事を読み、事態を心配したたくさんの人々から手紙を受け取った。その中に、ストーラン氏があり、彼はハクスリー卿のアイデアを受け、鳥類学者でイギリスの自然保護協会の事務局長でもあったマックス・ニコルソンに、基金の設立を働きかけた。そして、ニコルソンは、この大きな仕事を熱意を持って引き受けることになった。

1961年春、ニコルソンは、IUCNのメンバーで「レッドデータブック」の発案者でもあるピーター・スコット卿らと語らい、科学者と宣伝・広報の専門家を集め、あるグループを編成した。 この新しい小さな組織は、活動の拠点を中立国であるスイスに置くことに決め、ジュネーブ湖岸の小さな町モルジュにある、19世紀末風の建物に本部を構えていたIUCNのオフィスの中に拠点を作った。 IUCNはこの組織を歓迎し、ともに同じ一つの「協力して、世論を喚起し、自然保護の必要性を世界の人々に知ってもらおう」という目標を掲げた。以後、二つの団体は、長く同じ道を歩むことになる。 同じ時期に、イギリスのロンドン動物園に、中国からパンダが来た。言葉の壁を越えられるような、強力で分かりやすいシンボルが必要だと考えていたスコット卿らは、この人を惹き付ける大きな動物を、自分たちのグループのロゴ・マークに選んだ。 このパンダをシンボルとして、1961年9月11日、WWF(World Wildlife Fund:世界野生生物基金)が、正式に設立され、ここに世界の野生の自然を守る国際的な活動が始まった。 WWFの創設者たちは、最初にスイスに設立したWWFインターナショナルを中心に、各国に事務所「ナショナル・アピール(各国事務所)」を開設し、世界にその活動の輪を広げた。




組織概要

WWFは約100カ国で活動している環境保全団体である。 WWFの活動は、1961年9月、絶滅のおそれのある野生生物を救うことからスタートし、野生生物が生きる上で必要とする、さまざまな自然環境、森や海、草原、湿地などの、さまざまな生態系の保全に活動の範囲を拡大。地球環境の保全をめざし、現在は温暖化を含めた多様な環境問題への取り組みを行なっている。地球上の生物多様性を守り、人と自然が調和して生きられる未来をめざしている。 活動資金は、世界各地から寄せられる支援(寄付、会費など)によって行なわれている。


使命と行動原則

WWFは、地球の自然環境の悪化を食い止め、人類が自然と調和して生きられる未来を築く使命を掲げ、それを実践するための7つの行動原則を定めている。

使命

1、世界の生物多様性を守る

2、再生可能な自然資源の持続可能な利用が確実に行われるようにする

3、環境汚染と浪費的な消費の削減を進める

行動原則

・地球規模で活動する独立した団体であり、多文化を尊重し、特定の政党に組みしない

・問題に取り組むに当たっては、入手し得る最高の科学的情報を用い、自信の取り組み評価を厳しく行う

・不必要な対決を避け、対話を追求する

・フィールドプログラム、政策提言活動、能力開発、環境教育を組み合わせて、具体的な問題解決を組み立てる

・地域住民と先住民の文化的、経済的なニーズを尊重し、フィールドプログラムの立案と実施への参加を得る

・他の団体、政府、企業、地域社会とのパートナーシップ構築に努め、WWFの有効性を向上させる

・その運営に当たっては、費用効果を考慮し、最も厳しい説明責任基準に則って、いただいた寄付金を活用する

<参考資料> http://www.wwf.or.jp/aboutwwf/mission.html


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