重度・重複障害
出典: Jinkawiki
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となっている。しかし、法令等で使用されているのは「重複障害」という用語でる。「盲学校、聾学校及び聾学校養護学校」の学習指導要領においては、「当該学校に就学することとなった心身の障害以外に他の心身の障害を併せ有する」場合を「重複障害」としている。「当該学校に就学することとなった心身の障害」とは、学校教育法施行令第22条の3に規定する5障害を指す。ここでいう「他の心身の5障害とは、学校教育法施行令第22条の3に規定する障害に必ずしも限定されていないことから、広く解釈されている。従って、上記①は重複障害の一部に相当する。しかしいずれにせよ2つ以上の障害の重複だけを述べているので、重度という観点は含まれていない。②は重度の知的障害、③は強度の行動障害に相当する内容である。 | となっている。しかし、法令等で使用されているのは「重複障害」という用語でる。「盲学校、聾学校及び聾学校養護学校」の学習指導要領においては、「当該学校に就学することとなった心身の障害以外に他の心身の障害を併せ有する」場合を「重複障害」としている。「当該学校に就学することとなった心身の障害」とは、学校教育法施行令第22条の3に規定する5障害を指す。ここでいう「他の心身の5障害とは、学校教育法施行令第22条の3に規定する障害に必ずしも限定されていないことから、広く解釈されている。従って、上記①は重複障害の一部に相当する。しかしいずれにせよ2つ以上の障害の重複だけを述べているので、重度という観点は含まれていない。②は重度の知的障害、③は強度の行動障害に相当する内容である。 | ||
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+ | 重度・重複障害児の発生率は、出生前(胎生期)で新生児1,000人に対して0.6人前後、出生時(周生期)から新生児にかけては0.4人前後で、両者の合計から出生1,000人に対して新生児期(生後4週)までに1人前後であると推定される。 | ||
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+ | 2000(平成12)年4月1日現在における全国の公法人立重症心身障害児施設(重症児施設)の入所者8、648人の障害の原因の発生時期は、出生前28.86%、出生期・新生児期35.95%、周生期以後30.91%、不明4.28%である。主な障害の原因としては、低酸素症または仮死がもっとも多く1,548人、次いで不明の出生前原因1,006人、髄膜炎・脳炎881人、低出生体重児523人、てんかん499人、原因不明で時期を特定できないもの370人、原発性小頭症または狭頭症264人などがあげられる。 | ||
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+ | 今日、新生児医療の進歩により救命率は上昇しているが、重症心身障害児は増加傾向にある。この要因として、超低出生体重児と脳室周囲白質軟化症の増加などがあげられる。 |
2009年12月22日 (火) 15:36の版
重度・重複障害とは
文部省「特殊教育の改善に関する調査研究会議」が1975年3月31日に答申した「重度・重複障害児に関する学校教育の在り方について」には重度・重複障害児についての規定がある。それによると、重度・重複障害児とは、
①学校教育法施行令第22条の3に規定する障害(盲、聾、知的障害、肢体不自由、病弱)を二つ以上併せ持つ者
②発達的側面からみて精神発達の遅れが著しく、ほとんど言語を持たず、自他の意思の交換および環境への適応が著しく困難であって、日常生活において常時介護を必要とする程度の者
③行動的側面からみて、破壊的行動、多動傾向、異常な習慣、自傷行為、自閉症、その他の問題行動が著しく、常時介護を必要とする程度の者
となっている。しかし、法令等で使用されているのは「重複障害」という用語でる。「盲学校、聾学校及び聾学校養護学校」の学習指導要領においては、「当該学校に就学することとなった心身の障害以外に他の心身の障害を併せ有する」場合を「重複障害」としている。「当該学校に就学することとなった心身の障害」とは、学校教育法施行令第22条の3に規定する5障害を指す。ここでいう「他の心身の5障害とは、学校教育法施行令第22条の3に規定する障害に必ずしも限定されていないことから、広く解釈されている。従って、上記①は重複障害の一部に相当する。しかしいずれにせよ2つ以上の障害の重複だけを述べているので、重度という観点は含まれていない。②は重度の知的障害、③は強度の行動障害に相当する内容である。
重度・重複障害の原因
重度・重複障害児の発生率は、出生前(胎生期)で新生児1,000人に対して0.6人前後、出生時(周生期)から新生児にかけては0.4人前後で、両者の合計から出生1,000人に対して新生児期(生後4週)までに1人前後であると推定される。
2000(平成12)年4月1日現在における全国の公法人立重症心身障害児施設(重症児施設)の入所者8、648人の障害の原因の発生時期は、出生前28.86%、出生期・新生児期35.95%、周生期以後30.91%、不明4.28%である。主な障害の原因としては、低酸素症または仮死がもっとも多く1,548人、次いで不明の出生前原因1,006人、髄膜炎・脳炎881人、低出生体重児523人、てんかん499人、原因不明で時期を特定できないもの370人、原発性小頭症または狭頭症264人などがあげられる。
今日、新生児医療の進歩により救命率は上昇しているが、重症心身障害児は増加傾向にある。この要因として、超低出生体重児と脳室周囲白質軟化症の増加などがあげられる。