タックスヘイブン

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== 背景 == == 背景 ==
-税収政策をとらないこれらの国や地域はほとんどが小規模、自国の産業が未発展の貧困国。本来なら、運営困難とされているが税金を廃止することで外国企業や富裕層を受け入れ、経済を潤している。ヨーロッパの小国だったモナコは大富豪や資本家が移住したり別荘を持ったことで、世界有数の富裕国家に成長した。数多くの企業が税率の低い地域に移転することでタックスヘイブンの経済は成り立つ。+税収政策をとらないこれらの国や地域はほとんどが小規模、自国の産業が未発展の貧困国。本来なら、運営困難とされているが税金を廃止することで外国企業や富裕層を受け入れ、経済を潤している。ヨーロッパの小国だったモナコは大富豪や資本家が移住したり別荘を持ったことで、世界有数の富裕国家に成長した。数多くの企業が税率の低い地域に移転することでタックスヘイブンの経済は成り立つ。移転した企業は現地に実態がないケース(ペーパーカンパニー)がほとんど。
- +== 主要な導入国の例 ==
-== 導入国 ==+
'''リヒテンシュタイン''' '''リヒテンシュタイン'''
人口約3万5千人弱。スイス、オーストリアに隣接。タックスヘイブンによる租税回避を目的として各国のペーパーカンパニーが集中。タックスヘイブンによる誘致した企業からの得られる収入は全体の4割ほど。 人口約3万5千人弱。スイス、オーストリアに隣接。タックスヘイブンによる租税回避を目的として各国のペーパーカンパニーが集中。タックスヘイブンによる誘致した企業からの得られる収入は全体の4割ほど。
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 +'''モナコ公国'''
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 +人口約3万6千人。周囲をフランスに囲まれている。リゾート地として有名で、世界のセレブや大富豪が続々と移住している。法人税、所得税、住居税、相続税、不動産税などの税金が存在しない。観光やカジノによる収入が大きいとされる。
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 +'''シンガポール'''
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 +東南アジア。本島であるシンガポール島及び60以上の著しく小規模な島々から構成される。世界的にも商業、金融において重要な役割を果たしている。法人税と個人所得税は他の国と同様に累進課税式をとっている。ただし個人所得税は日本の役半分と低く、住民税や相続税などは非課税。
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 +'''ケイマン諸島'''
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 +人口約5万人。大西洋に浮かぶイギリスの海外領土。タックスヘイブンの影響で資産運用や資産移行する事業家や資産家が多い。日本からも本島に財産や資産の移行が多く、大企業でも投資するケースが多い。2011年に発覚したオリンパスの巨額損失隠しにも関係している。
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 +== 問題点 ==
 +タックスヘイブンはその名の通り税金のヘイブン(haven:避難所)となっている。先進国の企業や高取得者はオフショア地域に実態のないペーパーカンパニーを設立する。そして実態を持つ本国の会社の営業利益や収入を本国で税収のかからない額まで架空の取引としてペーパーカンパニーに移行する。このことで本国の税収は著しく低下し、その結果一般国民への課税が重くなることが懸念されている。また、詐欺師や犯罪組織、テロ組織もオフショア地域を利用し、不正に得た収入を資金洗浄(マネーロンダリング)することが可能になってしまう。これらの問題に対しても内政や個人情報に関わるということから調査が入りにくいのが現状。
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 +== 日本の税収との比較 ==
 +日本の2015年度の税収が54兆5250億円だったのに対して、海外支店を含む日本の銀行がオフショア市場に向けて投融資し、税負担を軽減している資金の残高は2015年度12月時点で約102兆円となっている。そのうち61%はケイマン諸島に対するものでその額は63兆円となっている。
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 +''日本の税収(2015年度)''
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 +54兆5250億円
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 +''日本の銀行のケイマン諸島活用額(2015年度)''
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 +5220億ドル(約63兆円)
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 +== 日本の対策 ==
 +'''タックスヘイブン対策税制'''
 +タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)とは日本の企業や法人等が合理性(事業基準、実態基準、管理支配基準に加えて、所在地国基準か非関連者基準によって判断)がないにもかかわらず、タックスヘイブンなどの租税負担が軽い国や地域に事実上の子会社等を設立し、事業を行うことにより租税回避することを阻止するための制度であり、1978年度税制改正により導入された。一定の税負担の水準(20%)未満の外国子会社等の所得に相当する金額について、我が国の企業や法人の収入とみなし、それを合算して課税する。
 +== パナマ文書 ==
 +タックスヘイブンの取引や企業の設立などに関わっているパナマの法律事務所である「モサック・フォンセカ」が過去過去40年にもわたる業務内容を記録した機密文書。文書にはタックスヘイブンを利用する約21万4000法人の情報が記載されており、この中には日本在住の個人や企業も合計約400記載されていた。2.6TBにも及ぶこれらのすべての情報は匿名の人物により2015年にドイツの新聞社である「南ドイツ新聞」に流失。分析結果が2016年4月3日に公開された。その結果、アイスランド、パキスタン、ウクライナなど12か国の政治指導者、140人以上の大物政治家や友人、企業などがオフショア会社を利用していたことが判明した。これを受けて、各国では抗議デモが行われたり、アイスランドでは首相が辞任に追い込まれるなどの影響が出た。
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 +'''文書に記載された可能性がある主な著名人(本人または友人)'''
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 +ウラジミール・プーチン(ロシア大統領)
 +習近平(中国国家主席)
 +デービット・キャメロン(イギリス首相)
 +アサド(シリア大統領)
 +ミシェル・プラティニ(欧州サッカー連盟元会長)
 +リオネル・メッシ(アルゼンチン・サッカー選手)
 +ジャッキー・チェン(香港・映画俳優)
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 +'''文書に記載された可能性がある主な日本企業'''
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 +JAL
 +三菱商事
 +商船三井
 +楽天
 +丸紅
 +ノースイ
 +ソフトバンク
 +オリックス
 +日本製紙
 +
 +
 +Kuriken

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目次

タックスヘイブン

外国企業や富裕層などの高取得者の資本獲得を目的に税金を廃止、または極端に低く指定している国や地域のこと。別名「オフショア」。タックスヘイブンを行っている国はF1グランプリの開催地としても知られるモナコ公国やサンマリノ共和国、リヒテンシュタインが有名。また、アジア地域では香港、マカオ、シンガポールや中近東ではドバイ、バーレーンなど。

背景

税収政策をとらないこれらの国や地域はほとんどが小規模、自国の産業が未発展の貧困国。本来なら、運営困難とされているが税金を廃止することで外国企業や富裕層を受け入れ、経済を潤している。ヨーロッパの小国だったモナコは大富豪や資本家が移住したり別荘を持ったことで、世界有数の富裕国家に成長した。数多くの企業が税率の低い地域に移転することでタックスヘイブンの経済は成り立つ。移転した企業は現地に実態がないケース(ペーパーカンパニー)がほとんど。

主要な導入国の例

リヒテンシュタイン

人口約3万5千人弱。スイス、オーストリアに隣接。タックスヘイブンによる租税回避を目的として各国のペーパーカンパニーが集中。タックスヘイブンによる誘致した企業からの得られる収入は全体の4割ほど。

モナコ公国

人口約3万6千人。周囲をフランスに囲まれている。リゾート地として有名で、世界のセレブや大富豪が続々と移住している。法人税、所得税、住居税、相続税、不動産税などの税金が存在しない。観光やカジノによる収入が大きいとされる。

シンガポール

東南アジア。本島であるシンガポール島及び60以上の著しく小規模な島々から構成される。世界的にも商業、金融において重要な役割を果たしている。法人税と個人所得税は他の国と同様に累進課税式をとっている。ただし個人所得税は日本の役半分と低く、住民税や相続税などは非課税。

ケイマン諸島

人口約5万人。大西洋に浮かぶイギリスの海外領土。タックスヘイブンの影響で資産運用や資産移行する事業家や資産家が多い。日本からも本島に財産や資産の移行が多く、大企業でも投資するケースが多い。2011年に発覚したオリンパスの巨額損失隠しにも関係している。

問題点

タックスヘイブンはその名の通り税金のヘイブン(haven:避難所)となっている。先進国の企業や高取得者はオフショア地域に実態のないペーパーカンパニーを設立する。そして実態を持つ本国の会社の営業利益や収入を本国で税収のかからない額まで架空の取引としてペーパーカンパニーに移行する。このことで本国の税収は著しく低下し、その結果一般国民への課税が重くなることが懸念されている。また、詐欺師や犯罪組織、テロ組織もオフショア地域を利用し、不正に得た収入を資金洗浄(マネーロンダリング)することが可能になってしまう。これらの問題に対しても内政や個人情報に関わるということから調査が入りにくいのが現状。

日本の税収との比較

日本の2015年度の税収が54兆5250億円だったのに対して、海外支店を含む日本の銀行がオフショア市場に向けて投融資し、税負担を軽減している資金の残高は2015年度12月時点で約102兆円となっている。そのうち61%はケイマン諸島に対するものでその額は63兆円となっている。

日本の税収(2015年度)

54兆5250億円

日本の銀行のケイマン諸島活用額(2015年度)

5220億ドル(約63兆円)

日本の対策

タックスヘイブン対策税制 タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)とは日本の企業や法人等が合理性(事業基準、実態基準、管理支配基準に加えて、所在地国基準か非関連者基準によって判断)がないにもかかわらず、タックスヘイブンなどの租税負担が軽い国や地域に事実上の子会社等を設立し、事業を行うことにより租税回避することを阻止するための制度であり、1978年度税制改正により導入された。一定の税負担の水準(20%)未満の外国子会社等の所得に相当する金額について、我が国の企業や法人の収入とみなし、それを合算して課税する。

パナマ文書

タックスヘイブンの取引や企業の設立などに関わっているパナマの法律事務所である「モサック・フォンセカ」が過去過去40年にもわたる業務内容を記録した機密文書。文書にはタックスヘイブンを利用する約21万4000法人の情報が記載されており、この中には日本在住の個人や企業も合計約400記載されていた。2.6TBにも及ぶこれらのすべての情報は匿名の人物により2015年にドイツの新聞社である「南ドイツ新聞」に流失。分析結果が2016年4月3日に公開された。その結果、アイスランド、パキスタン、ウクライナなど12か国の政治指導者、140人以上の大物政治家や友人、企業などがオフショア会社を利用していたことが判明した。これを受けて、各国では抗議デモが行われたり、アイスランドでは首相が辞任に追い込まれるなどの影響が出た。

文書に記載された可能性がある主な著名人(本人または友人)

ウラジミール・プーチン(ロシア大統領) 習近平(中国国家主席) デービット・キャメロン(イギリス首相) アサド(シリア大統領) ミシェル・プラティニ(欧州サッカー連盟元会長) リオネル・メッシ(アルゼンチン・サッカー選手) ジャッキー・チェン(香港・映画俳優)

文書に記載された可能性がある主な日本企業

JAL 三菱商事 商船三井 楽天 丸紅 ノースイ ソフトバンク オリックス 日本製紙


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