方言3
出典: Jinkawiki
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2015年7月31日 (金) 19:37の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) 次の差分へ → |
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+ | 方言とは、地域の言語の総体(体系)である。そもそも、日本の国語は日本語である。私たち日本人の大部分は日常生活で日本語を話しているが、ひとくちに日本語といっても、その内容は地方によって大きく異なる。たとえば青森県の人と鹿児島県の人が家族どうしで話している言葉を使って会話をしようとしても互いにほとんど通じないであろうし、それどころか同じ県内であっても方言圏が異なれば、その中身はかなり違う。このように、同一の国語の中で地域差が認められるとき、それぞれの地域で話されている言語を方言(dialect)という。冒頭で言ったように、方言は地域の言語の総体(体系)であって、私たちが英語を学ぶときに英単語を覚えるだけでなく、発音もアクセントも文法体系も学ばなければならないのと同様に、各地域の方言を話すためには、これも、発音、アクセント、語彙、文法などのすべてに習熟する必要がある。 | ||
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+ | 特にことわりなしに方言といえば、地域方言を指すのがふつうであるが、同じ地域であっても、年齢や職業などによって、使われる言葉がかなり異なる。このように、同一地域において言葉使いに年齢差や職業差などが認められるとき、それぞれの階層の用いる言語を社会方言(social dialect)と呼ぶことがある。現代の若者の多くは仲間内ではかなり特色のある言葉使いをしているが、これらは社会方言の一種であり、若者方言とも呼ぶことができる。 | ||
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+ | 現代の日本人は老いも若きも方言と共通語を使い分けている。すなわち、日常のくつろいだ場面では方言を使い、あらたまった場面では共通語を用いるのがふつうである。しかし、地方の人たちが話す言葉は完全な共通語ではなく、音声、アクセント、語彙、文法的特徴の一部に方言的特長が混在するのがふつうであり、このような方言交じりの共通語のことを地方共通語という。これは一般に、高齢層であるほど地方共通語の色彩が濃い。また、このような地方共通語に対して、方言色のない共通語、すなわち全国に通用する共通語は全国共通語と呼ばれる。明治、大正期以降、社会の近代化につれて、日本の方言は共通語化の道をたどったことで昔ながらの方言を話す人が少なくなっていったが、世間で言われているほど方言が衰退しているわけではなく、地域の人々の共通使用能力の増大が方言の衰退と誤認されている面もある。とはいっても、各地の方言における方言語彙の衰退は著しく、方言音声も次第に失われつつあるのが現状でもある。このような共通語化の影響を受ける以前の方言を伝統的方言と呼ぶことがある。一般に、方言調査においては、高齢者を調査対象に選ぶことが多いが、それは、これらの調査の目的が伝統的方言の調査研究を目的としているからである。現代の地方言語の実態を把握するためには、中年層、若年層の方言や、方言と共通語の使い分けの実状にも目を向けることが必要である。 |
2015年7月31日 (金) 19:37の版
方言とは
方言とは、地域の言語の総体(体系)である。そもそも、日本の国語は日本語である。私たち日本人の大部分は日常生活で日本語を話しているが、ひとくちに日本語といっても、その内容は地方によって大きく異なる。たとえば青森県の人と鹿児島県の人が家族どうしで話している言葉を使って会話をしようとしても互いにほとんど通じないであろうし、それどころか同じ県内であっても方言圏が異なれば、その中身はかなり違う。このように、同一の国語の中で地域差が認められるとき、それぞれの地域で話されている言語を方言(dialect)という。冒頭で言ったように、方言は地域の言語の総体(体系)であって、私たちが英語を学ぶときに英単語を覚えるだけでなく、発音もアクセントも文法体系も学ばなければならないのと同様に、各地域の方言を話すためには、これも、発音、アクセント、語彙、文法などのすべてに習熟する必要がある。
地域方言と社会方言
特にことわりなしに方言といえば、地域方言を指すのがふつうであるが、同じ地域であっても、年齢や職業などによって、使われる言葉がかなり異なる。このように、同一地域において言葉使いに年齢差や職業差などが認められるとき、それぞれの階層の用いる言語を社会方言(social dialect)と呼ぶことがある。現代の若者の多くは仲間内ではかなり特色のある言葉使いをしているが、これらは社会方言の一種であり、若者方言とも呼ぶことができる。
地方共通語
現代の日本人は老いも若きも方言と共通語を使い分けている。すなわち、日常のくつろいだ場面では方言を使い、あらたまった場面では共通語を用いるのがふつうである。しかし、地方の人たちが話す言葉は完全な共通語ではなく、音声、アクセント、語彙、文法的特徴の一部に方言的特長が混在するのがふつうであり、このような方言交じりの共通語のことを地方共通語という。これは一般に、高齢層であるほど地方共通語の色彩が濃い。また、このような地方共通語に対して、方言色のない共通語、すなわち全国に通用する共通語は全国共通語と呼ばれる。明治、大正期以降、社会の近代化につれて、日本の方言は共通語化の道をたどったことで昔ながらの方言を話す人が少なくなっていったが、世間で言われているほど方言が衰退しているわけではなく、地域の人々の共通使用能力の増大が方言の衰退と誤認されている面もある。とはいっても、各地の方言における方言語彙の衰退は著しく、方言音声も次第に失われつつあるのが現状でもある。このような共通語化の影響を受ける以前の方言を伝統的方言と呼ぶことがある。一般に、方言調査においては、高齢者を調査対象に選ぶことが多いが、それは、これらの調査の目的が伝統的方言の調査研究を目的としているからである。現代の地方言語の実態を把握するためには、中年層、若年層の方言や、方言と共通語の使い分けの実状にも目を向けることが必要である。