チャータースクール9

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2014年8月5日 (火) 10:33の版
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チャータースクールとは

アメリカにおいて、親や教職員、地域団体などが州や学区の認可を受けて運営する公立学校のことである。この時に交わされる特許状や特許契約書をチャーターと呼ぶ。1991年にミネソタ州で設置を認める法律が成立して、翌年に最初のチャータースクールが設立される。自主運営のため州や学区の法令・規則は免除され、子供たちのニーズに合わせた学校であり、通学区も存在しない。ただし、公費によって運営されるため、教育的な効果については定期的にチャーターの主体者が評価をしており、効果が上がらないようであればチャーターは取り消されることもある。設立の背景にはアメリカの地域間格差の拡大や学力の低下などが挙げられる。そして、学校の機能が果たされていない地域では子供たちの薬物や暴力問題も深刻化するようになったことが挙げられる。


メリット

・規制の免除

多くの法令・規則が免除され、それぞれの学校によって子供のニーズに合わせた独自の教育が可能。州のなかには教員免許が必須ではないところもあり、学校に様々な人が介入できる。学校の運営に参加する人が増えればきめ細やかな指導もできる。

・学校の選択肢が増える

アメリカには4000近くの大学があり、子供たちの進学率も高いが、その多くは私立学校出身者である。ただ、私立学校は年間150万~となっていて、学費がかからない公立学校と比べると非常に大きな出費で富裕層でなければ入学が難しい。また、アメリカへの留学生は多いが、現地の学生よりも割高になる。そのため、公立学校で選択肢が増えることは留学のしやすさにも繋がる。



デメリット

・人種構成に偏りがある

親や地域で学校を設立すると、同じコミュニティの人のみの集団になりやすい。そのため、少数派の子供は居心地が悪く、他の学校を選ぶことを余儀なくされる可能性がある。

・学力評価の不徹底

同じチャータースクールであっても地域によって教育カリキュラムは多様であり、具体的な学力の評価方法は提示されていない。そのため、学力を比較するにも読み書き・計算の標準のテストでは教科教育を目標に掲げていないチャータースクールでは適切な評価基準とはならないのである。

・運営に地域間の格差がある

自主運営になるため、財政難に陥っていても隠ぺいされている可能性もある。チャーターを許可した団体に対しても年に1回ほどの調査では気づかれないまま、財政が立て直せず閉校してしまうことがありうる。そのため、生徒や保護者に対して連絡のないままに転校を迫られてケアがなされないことがある。



チャータースクールの新たな試み

チャータースクールは比較的伝統公立学校より教育効果が高いという認識があるが、数々の研究の中で実証的なデータがなく、さらには人種間の学力格差が問題視されているのが実態である。ただ、新たな試みとしてKIPPスクールというのが登場してきている。KIPP(Knowledge is Power Program)スクールとは、チャータースクールのうちの1つで、特に貧困家庭のマイノリティの子供を対象として、大学進学レベルの学力をつけることを目的としている。ここでは教科教育が目標であり、授業時間も一般的な公立学校より1.5時間多く設定しているのが特徴である。そして、実際の学力テストでも効果が高く、84%の子供が高等教育段階へ進学するという数値まで出ている。置いていかれやすい貧困層の子供のための学校となって親たちの教育参加を促進し、時間をかけて知識や技術を身に付けさせるという考え方はチャータースクールならではであり、新たな試みに期待が高まっているのである。


(投稿者HNF) 参考資料 アメリカのチャータースクールについて   [1] 宝来敬章 『アメリカにおけるチャータースクール研究の諸課題』(2007) 斎藤桂  『アメリカにおける学力格差解消のための取り組み  ~KIPPスクールを例に~』


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