統合性ハイスクール
出典: Jinkawiki
2015年7月30日 (木) 16:25の版 Bunkyo-studen2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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統合性ハイスクールとは
統合性ハイスクールはアメリカの教育制度の中で生まれてきた学校であり、生徒のその後の進路の違いにかかわりなく生徒が同じ場所で学ぶように考えられた、地域の公立中等教育機関である。しかし、全ての生徒が同じカリキュラムを学ぶわけではなく、進路や能力に応じて異なるトラック(track)に分かれたり、選択科目により異なるカリキュラムを学ぶという形をとる。 統合性とはcomprehesiveの訳であるが、そもそもcomprehesiveという語を初めて用いたのは、全米教育協会が1913年に任命した中等教育改造委員会であるとさせる。ここでの意味は、「単一の組織でいてあらゆるカリキュラムを保持しているハイスクール」という意味で用いている。アメリカで生まれた統合性ハイスクールを特徴づけるのは、第一にそれが公立の中等教育機関であり、地域の青少年に開かれた非選抜を原則とする学校だということである。中等教育機関はその成り立ちからして階級的で一部の者のための学校であり、選抜制を前提としてきたのに対して統合性ハイスクールは、選抜をせずにすべての生徒を受け入れるところに特色がある。
意義について
統合性ハイスクールの意義は二重である。一つは公立は、地域の若者に開かれた教育機会を提供する中等教育段階の学校が作られたという意義をまず確認しておかなければならない。中等教育はそもそもの成り立ちからして、一部の対象としたエリート主義的性格をもつものであったが、ハイスクールは地域の人々のための学校であり、いち早く実現したコモンスクール(小学校)に続く二段階の学校としての性格を帯びるようになったのはアメリカにおいてである。 これには、人種的分離は差別であるとして、それまでの「分離すれども平等」という、教育における人種差別容認の考え方を明確に否定し、教育の機会をめぐる考え方を大きく転換させた1954年の連邦最高裁判所の影響も大きい。
現状と問題点
統合性ハイスクールの定着により、アメリカでは当該年齢人口のほぼ全員が就学するという状況をすでに1980年代はじめに達成してきた。しかし、同時に多くの中退者を生み出してきたことも事実であり、統合性ハイスクールは優れた質の高い教育を期待される一方において、若者を学校につなぎ留めるための様々なカリキュラム上の工夫を求められてきた。財政が豊かな学区と貧しい学区では、総合制ハイスクールであっても教育の質には大きな違いが見られることも問題である。
参考文献 「アメリカの教育改革」リクルート出版部 E.ボイヤー著 現代アメリカ教育ハンドブック アメリカ教育学会編