新疆ウイグル自治区

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概要

 新疆ウイグル自治区は中華人民共和国(中国)の北西部にあるウイグル族を中心とした自治区である。牧畜業や綿花生産が盛んで石油も産出される。ウイグル族はチュルク系民族で、主にイスラム教を信仰している。

 新疆ウイグル自治区は中国政府の民族区域自治という制度に基づいて自治権を行使しているが、連邦制度とは異なり自治権の適用程度には制限がある。



民族摩擦

 中国は複数の民族で構成される多民族国家である。その中でも最大の勢力を持つのは漢民族であり、総人口の約92%を占めている。新疆ウイグル自治区への漢民族の流入が進みつつあり、1953年には93%をチュルク系民族(ウイグル族・カザフ族など)が占めていたが、2000年には59%まで割合を減らしている。この結果、自治区内の「漢化」(漢民族への同化)が進行しており、漢語(中国語)の習熟度で社会的地位の格差が発生している。また、政治面においても漢民族は実質的に圧倒的優位であり、新疆ウイグル自治区をはじめとした自治区の最高権力者である自治区共産党委員会の書記は、中央政府から派遣された漢族が担っている。こうしたパワーバランスの傾きが、ウイグル族の反漢民族感情を生む一因となっている。

 1990年から2001年までの間に約200件のテロ事件が新疆ウイグル自治区で発生したとされている。中国当局はこれらをテロリズムとして摘発を行っているが、民族摩擦の根本の原因に立ち入らず、活動組織のみならずウイグル族全体に対する弾圧を行っている点で、国際社会から人権侵害であるとの非難を受けている。



参考文献

最新教科書 現代中国 王曙光・王智新・朱建栄・熊達雲(編) 柏書房 1998

東大塾 社会人のための現代中国講義 高原明生・丸川知雄・伊藤亜聖(編著) 2014

現代中国を知るための40章【第4版】 高井潔司・藤野彰・曽根康雄 2012



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