レ・ミゼラブル
出典: Jinkawiki
2015年7月14日 (火) 18:33の版
『レ・ミゼラブル』(Les Misérables)は、ヴィクトル・ユーゴーが1862年に書いた、ロマン主義フランス文学の小説。原題である、Les Misérables は、「悲惨な人々」「哀れな人々」を意味してる。1本のパンを盗んだため、19年間の牢獄生活を送ることになっ主人公のジャン・ヴァルジャンの生涯を描く作品である。
あらすじ
舞台はルイ18世やシャルル10世のいた復古王政時代の1815年から七月革命後のルイ・フィリップの七月王政時代の最中である1833年までの18年間のフランス。飢えた妹の子どものためにパンを1つ盗み、20年の刑に受けていたジャン・バルジャンは、19年目にして、仮釈放となったが、バルジャンの身分証には「危険人物」の烙印が押された為に仕事を得ることもできなかった。
お金もなく行く当てもなく、食料を奪ったために暴行を受けバルジャンが教会の前で倒れていると、シャルル司祭から声を掛けられた。バルジャンは客人として迎えられ、食事と、ベッドを与えられる。たが夜、バルジャンは、教会の銀の食器を盗み逃げをする。しかし警察に逮捕されたバルジャンだったが、司祭は「食器は彼に与えたものだ」と警官に告げる。この出来事でバルジャンは、恥を知り、生まれ変わることを決意。身分証を破り捨て、仮釈放に伴う毎月の出頭(身分証に確認印を押す)も止めることとした。そして月日はたち、バルジャンは、市民から尊敬される市長になっていた。そのバルジャンのもとに、牢獄時代にバルジャンに対して過酷な労働を強制したジャベールが市の新しい署長着任の挨拶にやってくる。そこでジャベールは、バルジャンの面影から、彼の過去に疑惑を抱く。一方、バルジャンの作業所で働く貧しい娘・ファンテーヌは、男に捨てられ、幼い娘コゼットを宿屋の夫婦に預けていた。しかし、ファンテーヌは作業所内でいじめに合い、作業員の女性たちがファンテーヌの解雇を要求し、工場長はファンテーヌを解雇してしまう。 ファンテーヌは、髪の毛、奥歯を売って金を貯めた。ある日街で、ある男がファンテーヌをからかい、ファンテーヌが男を突き飛ばす。ジャベールの警官隊が通りかかり、男はファンテーヌに襲われた、と主張。ジャベールはファンテーヌを逮捕しようとするが、バルジャンがファンテーヌをかばい、病院へ運ぶ。その後、バルジャンは病院を訪れるが。ファンテーヌは、コゼットの幻を見ながら亡くなった。バルジャンは、ファンテーヌにコゼットの保護を約束し、ジャベールから逃げながらコゼットの元へと向かった。バルジャンは宿屋を訪れ、使用人の扱いを受けていた幼いコゼットを、引き取る。そしてその後、パリの街は、ますます失業者の不満であふれていた。バルジャンは、美しい娘に成長したコゼットを連れて、貧民街で施しをしていた。そこにジャベールが現れた。そして、この不満により革命を起こそうとする運動に燃え上がっていた。青年・マリウスは、家を飛び出し、革命を起こそうとする集団のリーダーとして、革命運動に身を投じていた。宿屋夫婦の娘で、かつてコゼットと同じ家に暮らしていた娘・エポニーヌは、マリウスに恋をしていたが、マリウスはエポニーヌの気持ちに気づいていなかった。 ジャベールに見つかったバルジャンは、家をすぐに引き払い、英国へ出発するとコゼットに告げる。マリウスは、エポニーヌにコゼットを探してくれと頼む。コゼットは、マリウスへの手紙を門に残し、エポニーヌが手紙を取った。 しばらくして、民衆に慕われていた将軍が死去し、葬列の日、学生らを中心とする運動家たちは、革命を決意する。コゼットに恋していたマリウスも、革命を選ぶ。王政側の兵から被弾し、倒れたエポニーヌは、マリウスへコゼットの手紙を渡す。その一方で、マリウスからのコゼットへの手紙を受け取ったバルジャンは、彼を死なすまいとし、志願兵を装ってバリケード内部に侵入する。一方、バリケード内には、ジャベールが居た。彼もまた志願兵を名乗って、偽情報を流していたが、正体を看破され、拘束されていたのだった。バルジャンは、ジャベールを逃した。 翌朝、大砲でバリケードも粉砕され、革命軍は全員が死亡した。バルジャンとマリウスを除いては。バルジャンが負傷したマリウスを抱え、下水道から逃亡したのだった。その途中でジャベールに遭遇するも、ジャベールは彼らを見逃した。そして、ジャベールはバルジャンを追い続ける意味を失い、自ら崖から飛び込み自殺した。 革命することを失敗したマリウスは、祖父の元へと帰り、コゼットと結婚した。父代わりだったバルジャンは、マリウスに自らの過去を明かした。そして、その事実が明らかにされればコゼットを苦しませることになると考え、修道院で隠遁生活を送っていた。結婚式の日、宿屋夫婦からバルジャンが修道院にいることを明らかにされたマリウスは、コゼットとともに修道院へと向かった。そしてそこで愛しいコゼットに見守られながら、亡くなった。
主な登場人物
・ジャン・ヴァルジャン 1769年にブリーのファヴロールの貧しい農家の子供として生まれたが幼い時に両親をなくす。パンを盗み出獄した時は46歳とだったが長い監獄生活のなかで人間社会に不満と憎しみを持っていたが、ミリエル司教の情愛により改心する。悩み、苦しみ、時には哀しみと絶望を味わいながらも、常にミリエル司教の説く「正しい人」であろうと努め、日々を過ごし、市長となる。最後はマリウスとコゼットが結婚したことにより、幸福な気持ちに浸りながら天国へ旅立った。64歳で死去。 シャルル司祭 1739年ごろ、プロヴァンス生まれ。教会の前で倒れているジャン・バルジャンを見つけて助ける。ジャン・バルジャンが食料などを盗まれる所を警察に見つかり事情聴取されるも「私があげた。」とジャン・バルジャンに盗まれているのにもかかわらず述べた心優しい司祭。 ジャベール とにかくジャン・ヴァルジャンをいつも追いかけている冷静な警察官。だが、最後は追いかける意味を失い自ら崖から飛び降りて自殺する。 ファンティーヌ 妊娠中に恋人に捨てられる。娘を養うために一人ジャン・バルジャンの工場で働くがクビになってしまう。さらにお金を稼ぐため自分の身を犠牲にしてお金を稼いでいた。しかし、27歳という若さでこの世を去ってしまう。 コゼット コゼットというのはファンティーヌがつけた愛称で、本名はユーフラジー。心優しく、心を許した他人に身をゆだねる、素直で明るい少女。幼くして母のファンティーヌを亡くすがジャン・バルジャンにひきとられ美しい女性へと成長する。そして、当時住んでいた街で青年マリウスと恋に落ち、結婚する。 マリウス パリで弁護士をしながら暮らす貧乏な青年。社会の不満から自ら中心となり革命を起こそうとするが失敗に終わる。街で見かけたコゼットに一目ぼれをして恋におち結婚する。 エポニーヌ 母親に溺愛されて育つ。コゼットよりも先にマリウスに恋をしていたがその恋はマリウスには届かず、マリウスが好意を持ったコゼットを軽蔑する。しかし、革命中にマリウスが敵の銃弾から撃たれそうになったとき、自ら身を投げ出しマリウスをかばい、射殺された。16歳でこの世を去ってしまう。