第一次エイズ・パニック

出典: Jinkawiki

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概要

1986年末から1987年はじめにかけて起きた、エイズをめぐる一連のパニックである。 --松本エイズ・パニック-- 最初のパニックは1986年11月に長野県松本市で起こった。このパニックの原因になったのは、マニラから日本に来たフィリピン女性である。来日前にはフィリピンで売春婦をしていた。 --神戸エイズ・パニック-- 次のパニックは1987年1月に神戸で起こった。1987年1月18日付「朝日新聞」は、「エイズ、初の女性患者 神戸在住、男性から感染し重体」と報じている。彼女は外国人を含む100人以上の男性と性交渉をもっていた。 --高知エイズ・パニック-- 最後のパニックは1987年2月に起こった。この女性は、アメリカから輸入された血液製剤を使っていた血友病の男性と以前交際していた。

エイズ・パニックによる影響

エイズ・パニックが起こるまでは、エイズは「外国」の「ゲイ」の病気と扱われていた。しかしこのパニックでは女性がエイズに罹った。そのことから、この時期はエイズ・パニックで「女性」の表象が強いインパクトを伴って報道された。特に高知エイズ・パニックの事例により、エイズは遠い海外から身近な家庭へと忍び込んでくる病としても表象された。
また、第二次エイズ・パニックのこともあって、日本でホステスやセックスワーカーとして働いている「外国人女性」が危険な存在として表象された。
このように日本の「エイズ・パニック」の次元を見ていくと、そこでは常に女性というジェンダー表象が問題になっていることが分かる。


参考文献:新ケ江章友(2013)『日本の「ゲイ」とエイズ コミュニティ・国家・アイデンティティ』青弓社 ハンドルネーム:Ni-yon-zero


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