サンゴの白化

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2015年7月31日 (金) 17:21の版

目次

白化とは何か

サンゴの白化現象は、サンゴ礁を衰退させる大きな原因の一つとなっている。サンゴの白化現象とは、造礁サンゴが共生藻を失って、透明なサンゴ組織を通して白い骨格が透けて見え、白くなる現象である。白化したすぐ後はサンゴは生きているが、白化した状態が長く続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取ることができなくなり、死んでしまう。白化を起こすのはサンゴに限らず、共生藻をもつイソギンチャクなど他の動物でも観察されることがある。


白化の原因

サンゴの白化は、環境ストレスにより褐虫藻の光合成系が損傷され、サンゴが褐虫藻を放出することにより起こる。ストレスとしてよく挙げられるのは高水温である。近年、サンゴの白化の頻度が増大していることが明らかになり、温暖化による水温上昇との関係が盛んに議論されるようになった。サンゴの棲息に適する水温は25℃から28℃といわれており、30℃を超える水温の状態が長期間続くと白化が起こる。日本の本州など温帯域では水温が30℃を超えることはないが、平年値より水温が上昇すると、その付近に分布するサンゴが白化を起こしたことが報告されている。このことは、サンゴがそれぞれの環境に適応しており、平年値を上回る水温がストレスとなって白化が引き起こされることを示している。水温が上がると単純にサンゴの分布域が温帯域に広がっていくというわけではないのである。サンゴのストレスとしては、水質汚染、不法投棄、人口建造物による環境の変化もあげられる。また、温暖化によって海水温度が年々高くなっているために、プランクトンが異常発生し、周辺海域に十分な光が届かなくなると褐虫藻は光合成を行うことが出来なくなる。そのため、褐虫藻は、光を求めて共生していた珊瑚を離れ、移動してしまい、サンゴが白化するという事例もある。


サンゴの白化による影響

海は年間に約20トンもの二酸化炭素を溶かし、そしてサンゴが最も二酸化炭素をよく吸収するといわれている。その吸収量は年間に排出される二酸化炭素量の10分の1を占めており、サンゴは美しいだけでなく、二酸化炭素を減らし温暖化に歯止めをかける貴重な生き物なのだ。そのサンゴが白化してしまうということは、地球上の二酸化炭素量の増加につながる。また、サンゴ礁付近に生息していた生物もサンゴの白化により棲みかがなくなり、移動するので、生態系に変化が生じる可能性もある。


参考文献

『PADI』http://www.padi.co.jp/visitors/sango/page1_3.asp

『日本サンゴ礁学会』http://www.jcrs.jp/

(sumireyakko)


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