米の輸入

出典: Jinkawiki

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目次

米の輸入化の経緯

1980年代から国際化の波が押し寄せてきた。日本は自由貿易によって一番利益を受けているのに、コメだけは自由貿易をしないかった。1993年、日本はウルグアイラウンドでついにコメの一部自由化を認めた。1995年から国内消費量の4%を最低限輸入することを約束した(ミニマム・アクセス)。その後1999年からはコメの関税化が実施され、 1キログラムにつき341円の関税を払えば自由に輸入ができるようになった。 しかし、今のところ関税があまりに高いので、輸入はほとんどなされていない。一方、ミニマムアクセス米として、日本は関税なしで年間77万トンの輸入義務を負っているが、その77万トンのMA米の処理に四苦八苦しているのが現状である。

ミニマムアクセス

 ミニマム・アクセス米の輸入は、食料政策・農業政策の観点からは必要ないが、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の中で、日本全体としての経済的利益等を考慮して、導入されたもの。1993年末当時の関税貿易一般協定のウルグアイ・ラウンドで、日本はコメの輸入関税化の猶予と引き換えにミニマムアクセス(最低輸入義務)を課せられた。初年度の95年度426千トンから年々増量させ、2000年度には852千トンになる。ところが、このミニマムアクセスは日本に課せられた「義務」という性格から、輸出国にとっては「努力なしに売れる保証」となり、ただでさえあまり気味の国産のコメに拍車をかける形で在庫量を増やすことになった。1998年10月末の在庫は344万トンで、適正在庫を大幅に上回っている。ただし、ミニマムアクセス米は、用途を加工、飼料用に限定し、主食用には流通させられないので、年々在庫が増えている。海外への援助米としてさばくほか消化しきれない状態である。

メリット

安い米が出回ること
消費者の選択の幅はより広がること

デメリット

高級品は日本製、大衆向けは輸入品となり、日本で許可されていない農薬まみれの汚染米が市場に出回ることによる食の安全の崩壊
金持ちや健康志向の人は特定の農家と契約して米を買うことになる
日本の食料自給率は先進国のなかでは最低であり、戦争が起こり食糧の輸入がストップすると国民生活に大きな影響がある
国内の雇用が奪われる
自分たちの生活を自分たちで守ることができなくなる


これからの提案

国民の生命の維持に関するものについては、その重要度に応じた国内生産の権利を有してもよいのではないか。背景も重要性の違いもわからずに、工業の産物である品々と農産物を同列に並べ、工業製品は自由化しているのだから米を含む農産物も自由化しないのはおかしいとするのはどこか違っているように思われる。もちろん現在における食管制度等の保護措置が全てにおいて優れているとは言い切れない状態であることも事実である。あちこちに矛盾やほころびが生じてきている。国民の食糧の安定的な確保と生産・流通の自由という場合によっては相反する問題について、どのように折り合いをつけるかは極めて困難な課題でもある。しかし経済界や自由主義的考えの経済学者の主張するような極端な自由化は、国民の生命を維持するための食糧の確保という観点からは肯定できない。コメの貿易が自由化されれば商社等はこれまで以上にコメを儲けるための商品として位置づけるであろう。そこには「安全な農産物」、「安定した供給」、「安定した価格」という食糧に求められる特質は隅に追いやられてしまうであろう。


参考
ミニマム・アクセス米に関する報告書http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/0903/pdf/ref_data2.pdf
日本の農業http://homepage1.canvas.ne.jp/minamihideyo/note-nougyou.htm

by.eposu


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