難民の地位に関する条約
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難民の地位に関する条約は一般規定、法的地位、職業、福祉、行政上の措置、実施規定及び経過規定、最終条項の8章と46条で構成されている。 | 難民の地位に関する条約は一般規定、法的地位、職業、福祉、行政上の措置、実施規定及び経過規定、最終条項の8章と46条で構成されている。 | ||
*1章 一般規定 | *1章 一般規定 | ||
- | 1条 難民の定義 | + | [1条] 難民の定義 |
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+ | ここでは難民はどのような人かが規定されており、難民とは『1951年1月1日前に生じた事件の結果として、かつ人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者及びこれらの事件の結果として住居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができない者又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない者』であると定義されている。後の条約に適応されるのはこの定義に該当する者である。ただし、この定義には時間的に範囲が狭いため問題点があった。 | ||
2条 一般的義務 | 2条 一般的義務 | ||
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3条 無差別 | 3条 無差別 | ||
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4条 宗教 | 4条 宗教 | ||
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5条 この条約にかかわりなく与えられる権利 | 5条 この条約にかかわりなく与えられる権利 | ||
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6条 「同一の事情のもとで」の意味 | 6条 「同一の事情のもとで」の意味 | ||
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7条 相互主義の適用の免除 | 7条 相互主義の適用の免除 | ||
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8条 例外的措置の援助 | 8条 例外的措置の援助 | ||
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9条 暫定措置 | 9条 暫定措置 | ||
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10条 居住の継続 | 10条 居住の継続 | ||
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11条 難民である船員 | 11条 難民である船員 | ||
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*2章 法的地位 | *2章 法的地位 | ||
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12条 属人法 | 12条 属人法 | ||
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13条 動産及び不動産 | 13条 動産及び不動産 | ||
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14条 著作権及び工業所有権 | 14条 著作権及び工業所有権 | ||
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15条 結社の権利 | 15条 結社の権利 | ||
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16条 裁判を受ける権利 | 16条 裁判を受ける権利 | ||
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*3章 職業 | *3章 職業 | ||
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17条 賃金が支払われる職業 | 17条 賃金が支払われる職業 | ||
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18条 自営業 | 18条 自営業 | ||
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19条 自由業 | 19条 自由業 | ||
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*4章 福祉 | *4章 福祉 | ||
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20条 配給 | 20条 配給 | ||
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21条 住居 | 21条 住居 | ||
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22条 公の教育 | 22条 公の教育 | ||
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23条 公的扶助 | 23条 公的扶助 | ||
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24条 労働法制及び社会保障 | 24条 労働法制及び社会保障 | ||
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*5章 行政上の措置 | *5章 行政上の措置 | ||
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25条 行政上の援助 | 25条 行政上の援助 | ||
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26条 移動の自由 | 26条 移動の自由 | ||
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27条 身分証明書 | 27条 身分証明書 | ||
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28条 旅行証明書 | 28条 旅行証明書 | ||
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29条 公租公課 | 29条 公租公課 | ||
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30条 資産の移転 | 30条 資産の移転 | ||
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31条 避難国に不法にいる難民 | 31条 避難国に不法にいる難民 | ||
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32条 追放 | 32条 追放 | ||
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33条 追放及び送還の禁止 | 33条 追放及び送還の禁止 | ||
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34条 帰化 | 34条 帰化 | ||
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*6章 実施規定及び経過規定 | *6章 実施規定及び経過規定 | ||
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35条 締約国の機関と国際連合との協力 | 35条 締約国の機関と国際連合との協力 | ||
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36条 国内法令に関する情報 | 36条 国内法令に関する情報 | ||
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37条 従前の条約との関係 | 37条 従前の条約との関係 | ||
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*7章 最終条項 | *7章 最終条項 | ||
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38条 紛争の解決 | 38条 紛争の解決 | ||
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39条 署名、批准及び加入 | 39条 署名、批准及び加入 | ||
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40条 適用地域条約 | 40条 適用地域条約 | ||
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41条 連邦条項 | 41条 連邦条項 | ||
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42条 留保 | 42条 留保 | ||
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43条 効力発生 | 43条 効力発生 | ||
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44条 廃棄 | 44条 廃棄 | ||
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45条 改正 | 45条 改正 | ||
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46条 国際連合事務総長んいよる通報 | 46条 国際連合事務総長んいよる通報 | ||
- | 主な内容としては、難民を冷遇したりせずに一般の外国人と同様に扱うように規定している。 | + | 主な内容としては、難民を冷遇したりせずに一般の外国人と同様に扱うように規定していること、さらに自国民と同じように扱うことも規定されている |
== 難民の地位に関する議定書 == | == 難民の地位に関する議定書 == |
2016年7月27日 (水) 05:21の版
目次 |
条約が採択された理由
難民の地位に関する条約は第二次世界大戦後に難民の基本的人権などの難民問題が注目されるようになりはじめて採択されていった。第二次世界大戦によって急激にその数を増やした難民が全世界規模で問題になった。第一次世界大戦後に採択されていた特定の難民に関する協定では保護の対象範囲が狭いため急激に増えた難民を保護する必要性と協定加盟国への関心を十分に満たせてはいなかった。そのため国際問題へと発展した難民保護といった難民問題を解決するには世界規模で協力し、一致団結していく必要があった。そういった背景から1951年に採択されることになった。
成立過程
国際連合経済社会理事会の下部組織である人権委員会が難民の地位に関する問題を提起した。これをきっかけに1948年、経済社会理事会が国連事務総長に対して無国籍者への保護の状況調査を要請する決議を採択した。この決議によって報告された調査を受け、1949年に経済社会理事会が難民と無国籍者の地位に関する条約を採択すべきか否かを判断し、もし採択すべきだと判断した場合には案文を作成する準備のためにアド・ホック委員会を設置する内容の決議を採択した。これにより設置されることになったアド・ホック委員会が1950年に難民の地位に関する条約と無国籍者の地位に関する議定書の草案を作成した。そして、経済社会理事会が作成された草案を検討して第五回国連総会に付託されることになった。この総会で難民の地位に関する条約と無国籍者の地位に関する議定書を討議し採択するために国連非加盟国も参加できるように全権委員会を開催すること、そして総会がまた別に採択したこの条約の第1条案である難民の定義を全権委員会議で検討していくことを勧告するといった内容の決議を採択した。1951年にジュネーブにて全権委員会議を開催し、この条約草案と議定書草案の各条を詳しく審議した。そして1951年7月25日付で採択され、1954年4月22日に発行された。
条約の内容
難民の地位に関する条約は一般規定、法的地位、職業、福祉、行政上の措置、実施規定及び経過規定、最終条項の8章と46条で構成されている。
- 1章 一般規定
[1条] 難民の定義
ここでは難民はどのような人かが規定されており、難民とは『1951年1月1日前に生じた事件の結果として、かつ人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者及びこれらの事件の結果として住居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができない者又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない者』であると定義されている。後の条約に適応されるのはこの定義に該当する者である。ただし、この定義には時間的に範囲が狭いため問題点があった。 2条 一般的義務
3条 無差別
4条 宗教
5条 この条約にかかわりなく与えられる権利
6条 「同一の事情のもとで」の意味
7条 相互主義の適用の免除
8条 例外的措置の援助
9条 暫定措置
10条 居住の継続
11条 難民である船員
- 2章 法的地位
12条 属人法
13条 動産及び不動産
14条 著作権及び工業所有権
15条 結社の権利
16条 裁判を受ける権利
- 3章 職業
17条 賃金が支払われる職業
18条 自営業
19条 自由業
- 4章 福祉
20条 配給
21条 住居
22条 公の教育
23条 公的扶助
24条 労働法制及び社会保障
- 5章 行政上の措置
25条 行政上の援助
26条 移動の自由
27条 身分証明書
28条 旅行証明書
29条 公租公課
30条 資産の移転
31条 避難国に不法にいる難民
32条 追放
33条 追放及び送還の禁止
34条 帰化
- 6章 実施規定及び経過規定
35条 締約国の機関と国際連合との協力
36条 国内法令に関する情報
37条 従前の条約との関係
- 7章 最終条項
38条 紛争の解決
39条 署名、批准及び加入
40条 適用地域条約
41条 連邦条項
42条 留保
43条 効力発生
44条 廃棄
45条 改正
46条 国際連合事務総長んいよる通報
主な内容としては、難民を冷遇したりせずに一般の外国人と同様に扱うように規定していること、さらに自国民と同じように扱うことも規定されている
難民の地位に関する議定書
難民の地位に関する議定書は1967年に難民の地位に関する条約にある地理的制約や時間的な制約を取り除いたものである。一般的にはこの議定書と条約をセットで難民条約と言われている。条約が作成された後も多数の難民が発生していった。だが、条約の難民の定義によって適用される時間的制限があった。この制限から出た難民を救済するために国連難民高等弁務官計画執行委員会と難民問題の法的側面に関する会議が共に作成した草案を基に1967年10月4日に発行された。
批准している国(19か国)
1952年 デンマーク
1953年 ベルギー、ドイツ、ルクセンブルク、ノルウェー
1954年 オーストリア、フランス、イスラエル、イタリア、スウェーデン、イギリス
1955年 スイス
1956年 バチカン、オランダ
1957年 リヒテンシュタイン
1960年 ブラジル、ギリシャ
1961年 コロンビア
1962年 トルコ
加入している国(94か国)
1954年 オーストラリア、モナコ
1955年 エクアドル、アイスランド
1956年 アイルランド
1960年 ニュージーランド、ポルトガル
1961年 アルゼンチン
1963年 ブルンジ、ガーナ
1964年 ガボン、リビリア、ペルー、タンザニア
1965年 コンゴ民主共和国
1966年 ケニア
1967年 マダガスカル、ナイジェリア
1968年 フィンランド
1969年 ボツワナ、カナダ、エチオピア
1970年 パラグアイ、ウルグアイ
1971年 マルタ
1972年 チリ
1974年 スーダン
1976年 ギニアビサウ、イラン、ウガンダ
1978年 コスタリカ、ドミニカ共和国、パナマ、セントメプリシンペ、ソマリア、スペイン
1980年 ブルキナファソ、ニカラグア、ルワンダ、セイシェル、イエメン
1981年 アンゴラ、チャド、エジプト、日本、レソト、フィリピン、シエラレオネ、ジンバブエ
1982年 ボリビア、中国
1983年 エルサルバドル、グアテマラ、モザンビーク
1984年 ハイチ
1986年 赤道ギニア、パプアニューギニア
1987年 マラウィ、モーリタニア
1988年 サモア
1989年 ハンガリー
1990年 ベリーズ
1991年 ポーランド、ルーマニア
1992年 アルバニア、カンボジア、ホンジャラス、大韓民国
1993年 アルメニア、アゼルバイジャン、バハマ、ブルガリア、ロシア連邦、セント・ビンセント・グレナディーン、タジキスタン
1994年 ドミニカ
1995年 アンティグア・バーブーダ、ナミビア、ソロモン諸島
1996年 キルギスタン、南アフリカ共和国
1997年 エストニア、ラトビア、リトアニア
1998年 トルクメニスタン
1999年 グルジア、カザフスタン
2000年 メキシコ、スワジランド、トリニダードドバゴ
2001年 ベラルーシ
2002年 モルドバ共和国、セントキッツ・ネビス、ウクライナ
2003年 東ティモール
2005年 アフガニスタン
2011年 ナウル
参考文献
世界の難民と日本の難民支援http://www.aarjapan.gr.jp/activity/emergency/refugee.html
UNCHR http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/pub/pamph/nanmin.html
外務省:パンフレット難民条約http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/pub/pamph/nanmin.html