WASP3

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- +== WASP(ワスプ)とは ==
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ワスプという言葉は、ユダヤ系、そしてホワイト・エスニックと呼ばれる、主にカトリック教徒からなる民族集団(アイリッシュ、南欧・東欧系)の間で使われ始め、やがて比較的リベラルなワスプ自身の間で自己批判的に使用され始めたのである。ワスプという呼称には人種差別にかかわる様々な病理が結びついている。人為的に作られた他民族社会のアメリカでは、多数派であるアングロサクスン系アメリカ人のプロテスタント教徒に対して使われるWASPが存在する。最初のWが白人(ホワイト)、ASがアングロサクスン、Pがプロテスタントを指す。 ワスプという言葉は、ユダヤ系、そしてホワイト・エスニックと呼ばれる、主にカトリック教徒からなる民族集団(アイリッシュ、南欧・東欧系)の間で使われ始め、やがて比較的リベラルなワスプ自身の間で自己批判的に使用され始めたのである。ワスプという呼称には人種差別にかかわる様々な病理が結びついている。人為的に作られた他民族社会のアメリカでは、多数派であるアングロサクスン系アメリカ人のプロテスタント教徒に対して使われるWASPが存在する。最初のWが白人(ホワイト)、ASがアングロサクスン、Pがプロテスタントを指す。
-'''== WASP(ワスプ)の呼称と誇り =='''+== WASP(ワスプ)の呼称と誇り ==
アメリカのような多民族社会だと、国内に国境はなくても、多民族が類似国境の役割を果たす。この中では、マイノリティだけでなくマジョリティも、ある程度は自分の民族性を自覚せざるをえない。その自覚には二通りある。一つは台頭してくるマイノリティに危機感を募らせ、一層自分の民族性に誇りを持ち、マイノリティに対して差別的になる姿勢。もう一つはまず自分の先祖がマジョリティとして富や権力を専有してきたことへの反省、また自分が無意識のうちにマイノリティを傷つけてきたことへの反省をこめて、自分の民族性に対して強すぎる誇りを持つことを自制する姿勢。ワスプの呼称は、後者の姿勢が持つ良心の危うい均衡を表している。 アメリカのような多民族社会だと、国内に国境はなくても、多民族が類似国境の役割を果たす。この中では、マイノリティだけでなくマジョリティも、ある程度は自分の民族性を自覚せざるをえない。その自覚には二通りある。一つは台頭してくるマイノリティに危機感を募らせ、一層自分の民族性に誇りを持ち、マイノリティに対して差別的になる姿勢。もう一つはまず自分の先祖がマジョリティとして富や権力を専有してきたことへの反省、また自分が無意識のうちにマイノリティを傷つけてきたことへの反省をこめて、自分の民族性に対して強すぎる誇りを持つことを自制する姿勢。ワスプの呼称は、後者の姿勢が持つ良心の危うい均衡を表している。
-'''== 3つのWASP(ワスプ) =='''+== 3つのWASP(ワスプ) ==
WASPの同形異義語がアメリカ国内だけで三つある。まずは普通名詞でwaspは、「スズメバチ、ジガバチ、怒りっぽい人」の意味。あまり目にかかることはないWASPが「陸軍婦人飛行士隊」の略称であることもある。もう一つは、WASPがアパラチア山脈地方に住む南部白人の略称である場合で、これはワスプとほぼ同時期にソーシャル・ワーカーが調査用紙に記入する略語として使いだした。アパラチア山脈周辺には極貧の白人が住んでいることで知られているが、WASPがそういうプア・ホワイトの代名詞に使われた。元来プロテスタントのアングロサクスン系アメリカ人中流及び上流層を意味するWASPに対して、別系統のWASPがプア・ホワイト、つまり、プロテスタントのアングロサクスン系アメリカ人を意味したことは、因縁を感じさせる。 WASPの同形異義語がアメリカ国内だけで三つある。まずは普通名詞でwaspは、「スズメバチ、ジガバチ、怒りっぽい人」の意味。あまり目にかかることはないWASPが「陸軍婦人飛行士隊」の略称であることもある。もう一つは、WASPがアパラチア山脈地方に住む南部白人の略称である場合で、これはワスプとほぼ同時期にソーシャル・ワーカーが調査用紙に記入する略語として使いだした。アパラチア山脈周辺には極貧の白人が住んでいることで知られているが、WASPがそういうプア・ホワイトの代名詞に使われた。元来プロテスタントのアングロサクスン系アメリカ人中流及び上流層を意味するWASPに対して、別系統のWASPがプア・ホワイト、つまり、プロテスタントのアングロサクスン系アメリカ人を意味したことは、因縁を感じさせる。

2016年7月29日 (金) 16:15の版

目次

WASP(ワスプ)とは

ワスプという言葉は、ユダヤ系、そしてホワイト・エスニックと呼ばれる、主にカトリック教徒からなる民族集団(アイリッシュ、南欧・東欧系)の間で使われ始め、やがて比較的リベラルなワスプ自身の間で自己批判的に使用され始めたのである。ワスプという呼称には人種差別にかかわる様々な病理が結びついている。人為的に作られた他民族社会のアメリカでは、多数派であるアングロサクスン系アメリカ人のプロテスタント教徒に対して使われるWASPが存在する。最初のWが白人(ホワイト)、ASがアングロサクスン、Pがプロテスタントを指す。

WASP(ワスプ)の呼称と誇り

アメリカのような多民族社会だと、国内に国境はなくても、多民族が類似国境の役割を果たす。この中では、マイノリティだけでなくマジョリティも、ある程度は自分の民族性を自覚せざるをえない。その自覚には二通りある。一つは台頭してくるマイノリティに危機感を募らせ、一層自分の民族性に誇りを持ち、マイノリティに対して差別的になる姿勢。もう一つはまず自分の先祖がマジョリティとして富や権力を専有してきたことへの反省、また自分が無意識のうちにマイノリティを傷つけてきたことへの反省をこめて、自分の民族性に対して強すぎる誇りを持つことを自制する姿勢。ワスプの呼称は、後者の姿勢が持つ良心の危うい均衡を表している。


3つのWASP(ワスプ)

WASPの同形異義語がアメリカ国内だけで三つある。まずは普通名詞でwaspは、「スズメバチ、ジガバチ、怒りっぽい人」の意味。あまり目にかかることはないWASPが「陸軍婦人飛行士隊」の略称であることもある。もう一つは、WASPがアパラチア山脈地方に住む南部白人の略称である場合で、これはワスプとほぼ同時期にソーシャル・ワーカーが調査用紙に記入する略語として使いだした。アパラチア山脈周辺には極貧の白人が住んでいることで知られているが、WASPがそういうプア・ホワイトの代名詞に使われた。元来プロテスタントのアングロサクスン系アメリカ人中流及び上流層を意味するWASPに対して、別系統のWASPがプア・ホワイト、つまり、プロテスタントのアングロサクスン系アメリカ人を意味したことは、因縁を感じさせる。


参考文献

・「ワスプ(WASP) アメリカン・エリートはどうつくられるか」 越智道雄 (1998年) 中公新書 ・「WASPの流儀」 ルイス・オーキンクロス (2002年) 扶桑社

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