参政権

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== 参政権 == == 参政権 ==
-参政権とは、国民が直接または間接に国政に参加する権利のことである。選挙権・被選挙権、公務員となる権利、公務員を罷免する権利、国民審査の権利などがある。基本的人権の一つである。+参政権とは、国民が直接または間接に国政に参加する権利のことである。15条で、選挙権・被選挙権・国民投票権などの参政権を保障している。選挙権は、普通選挙、平等選挙、自由選挙、秘密選挙、直接選挙の5つの要件(原則)を備えなければならない。基本的人権の一つである。「参政権」の具体的な内容として、「公務員の選定及び罷免の権利」、「最高裁判所の裁判官を審査する権利」、「地方公共団体の特別法に同意する権利」、「憲法改正を承認する権利」が規定されている。
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このような二つの流れは、そのまま近代社会に受け継がれた。17、18世紀の市民革命の思想学説においては、参政権は国民固有の属性であると主張されている。1789年のフランス人権宣言の第6条には、「すべての市民は自らまたはその代表者によって法律の制定に参与する権利を有する。……すべての市民は法律の前に平等であるため、……等しくすべての公職につくことができる」と述べられていた。しかしその直後の1791年のフランス憲法では、財産によって市民を能動的市民と受動的市民に分け、主権を実際に行使できる者を能動的市民に限った。この能動的市民は全人口2600万人中約430万人にすぎず、さらに彼らが選んだ選挙人の資格を有する者は5万人弱にしかすぎなかった。したがって、市民の資格を制限することによって選ばれたエリートたちの間の平等が、実際には保障されていたにすぎなかったといえよう。 このような二つの流れは、そのまま近代社会に受け継がれた。17、18世紀の市民革命の思想学説においては、参政権は国民固有の属性であると主張されている。1789年のフランス人権宣言の第6条には、「すべての市民は自らまたはその代表者によって法律の制定に参与する権利を有する。……すべての市民は法律の前に平等であるため、……等しくすべての公職につくことができる」と述べられていた。しかしその直後の1791年のフランス憲法では、財産によって市民を能動的市民と受動的市民に分け、主権を実際に行使できる者を能動的市民に限った。この能動的市民は全人口2600万人中約430万人にすぎず、さらに彼らが選んだ選挙人の資格を有する者は5万人弱にしかすぎなかった。したがって、市民の資格を制限することによって選ばれたエリートたちの間の平等が、実際には保障されていたにすぎなかったといえよう。
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 +== いろいろな選挙制度 ==
 +私たちは、選挙により「代表」を選び、その「代表」を通じて政治に参加し、意思を反映させることになっている。「代表」は、私たちに代わって私たちのために政治を行う。つまり、政治の主役は、私たちなのだ。
 +立派な「代表」を選び出すために、次の五つの原則がある。
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 +'''普通選挙''':個人の納税額等の財力を選挙権の要件としない選挙制度のこと。
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 +'''平等選挙''':投票の価値を均等に扱う選挙制度のこと。
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 +'''自由選挙''':仮に選挙を棄権しても罰金等の制裁を受けない選挙制度のこと。
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 +'''秘密選挙''':誰に投票したかを秘密にする選挙制度のこと。
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 +'''直接選挙''':選挙権を有する者が公務員を直接に選ぶ選挙制度のこと。
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 +日本の選挙制度の実際を見てみると、平等選挙については達成できていない面も見受けられるが、その他についてはおおよそ実現できているのではないかと思われる。ただ、秘密選挙については、実際深刻な問題を生じている。詳細は長くなってしまうので割愛するが、例えば、過疎地の選挙では誰が誰に投票したのか分かってしまう場合がある、名前が書かれた投票用紙で投票させられる場合がある(これは本当に巧妙な手口で行われているようです)など、信じがたい実態があるようだ。
≪参考文献≫ ≪参考文献≫

2009年6月25日 (木) 14:06の版

目次

参政権

参政権とは、国民が直接または間接に国政に参加する権利のことである。15条で、選挙権・被選挙権・国民投票権などの参政権を保障している。選挙権は、普通選挙、平等選挙、自由選挙、秘密選挙、直接選挙の5つの要件(原則)を備えなければならない。基本的人権の一つである。「参政権」の具体的な内容として、「公務員の選定及び罷免の権利」、「最高裁判所の裁判官を審査する権利」、「地方公共団体の特別法に同意する権利」、「憲法改正を承認する権利」が規定されている。



参政権の歴史

参政権の性質あるいは根拠については、古くから対立する学説が存在していた。一方では、それは市民権に当然付随する属性あるいは機能だと考えられ、他方では、それは国家の公務に参与する特権であり、そのためには一定の財産ないし政治的能力、すなわち「富と教養」をもつ者のみが政治に参加すべきであると考えられた。確かに、古代ギリシアやローマの都市国家においては、市民は当然に民会に参加し、直接に立法や重要官職の選挙、外交関係の処理裁判まで行い、市民の参政権は最大限に保障されていたといえる。しかし同時に市民権は、市民権をもつ父親から生まれた男子にのみ限定され、女性や未成年者、多数の奴隷にはなんらの参政権もなく、同じ民族でも他の都市の市民には権利の保障がされなかったということを無視するわけにはいかない。その後ヨーロッパ中世の封建社会において身分制議会の制度が採用されるとともに、「代表なくして課税なし」というイギリスのことばが意味するように、参政権は土地所有に伴う封建的な特権とみられるようになった。いうなれば、国家に多額の税金を納める国民には一定限度の政治に対する発言権を保障するという考え方である。

このような二つの流れは、そのまま近代社会に受け継がれた。17、18世紀の市民革命の思想学説においては、参政権は国民固有の属性であると主張されている。1789年のフランス人権宣言の第6条には、「すべての市民は自らまたはその代表者によって法律の制定に参与する権利を有する。……すべての市民は法律の前に平等であるため、……等しくすべての公職につくことができる」と述べられていた。しかしその直後の1791年のフランス憲法では、財産によって市民を能動的市民と受動的市民に分け、主権を実際に行使できる者を能動的市民に限った。この能動的市民は全人口2600万人中約430万人にすぎず、さらに彼らが選んだ選挙人の資格を有する者は5万人弱にしかすぎなかった。したがって、市民の資格を制限することによって選ばれたエリートたちの間の平等が、実際には保障されていたにすぎなかったといえよう。


参政権の拡大

しかしこのような状況は19世紀から20世紀にかけて急激に変化していった。イギリスでは19世紀の初めまで選挙権がかなり制限されており、しかも長期にわたって選挙区割が改正されなかったため、産業革命によって発達したバーミンガムなどの都市が代表されず、選挙民の少ない腐敗選挙区あるいはポケット選挙区(制限選挙区)が多数存在し、なかには海中に没した都市から議員が選ばれるといった状況すら存在した。このような状況を改善するために1832年選挙法改正が行われ、選挙区割を改定するとともに、選挙資格を緩和し、有権者が約50%増加した。その後1918年には完全に男子の普通選挙が実施され、女性参政権も一部認められた。

日本では1889年(明治22)の選挙法で、25歳以上の男子で直接国税15円以上を納めている者に選挙権が認められたが、その数は人口の約1%の45万人にすぎなかった。その後1925年(大正14)に男子普通選挙が、第二次世界大戦後、1945年(昭和20)には20歳以上の男女に選挙権が認められた。なお今日、欧米諸外国では18歳への選挙権年齢引き下げが行われているが、日本ではその環境は熟していない。



いろいろな選挙制度

私たちは、選挙により「代表」を選び、その「代表」を通じて政治に参加し、意思を反映させることになっている。「代表」は、私たちに代わって私たちのために政治を行う。つまり、政治の主役は、私たちなのだ。 立派な「代表」を選び出すために、次の五つの原則がある。


普通選挙:個人の納税額等の財力を選挙権の要件としない選挙制度のこと。

平等選挙:投票の価値を均等に扱う選挙制度のこと。

自由選挙:仮に選挙を棄権しても罰金等の制裁を受けない選挙制度のこと。

秘密選挙:誰に投票したかを秘密にする選挙制度のこと。

直接選挙:選挙権を有する者が公務員を直接に選ぶ選挙制度のこと。

日本の選挙制度の実際を見てみると、平等選挙については達成できていない面も見受けられるが、その他についてはおおよそ実現できているのではないかと思われる。ただ、秘密選挙については、実際深刻な問題を生じている。詳細は長くなってしまうので割愛するが、例えば、過疎地の選挙では誰が誰に投票したのか分かってしまう場合がある、名前が書かれた投票用紙で投票させられる場合がある(これは本当に巧妙な手口で行われているようです)など、信じがたい実態があるようだ。

≪参考文献≫

  • 新版憲法講義(上)  小林直樹著  東京大学出版会

  人間科学大事典

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