アダム・スミス2
出典: Jinkawiki
イギリスの経済学者であり、古典派経済学の創始者である。
スミスの時代と生涯
スミスの思想と学問
三つのスミス像
ごく大づかみに観察すると、これまでの日本人にの目には、スミスが三つの顔を持って次々に現れてきたように見える。第一の顔は、自由貿易と産業立国によって新しい日本の行手を指し示す導きの星として、「経世化の顔」であった。大体において明治のスミスはこんな風に受け取られていたと思われる。スミスという人は、いかにしたら後進国日本を富裕で強大な一人前の近代国家に育て上げることができるかというその方策を教えた先進国イギリスの巨星だったのである。大正期に入ると、スミスの顔は一変した。スミスをもっと「アカデミックな人間」としてみようとする機運に変わってきたのである。思想家としてのスミス、道徳哲学者としてのスミス、経済学者としてのスミス、そんなことが熱心に議論されるようになった。大正のスミスはもはや実際家や政治家の手からはなれて、学者や教師の手に移ったのである。終戦後におけるスミス研究では、第三の顔が挙がった。第三期のスミス像は「おそろしく専門化したスミス像」である。スミスは自由思想家として、哲学者として、道徳哲学者としてもさらに深く研究されるようになった。たんに経済政策家としてだけではなく、経済理論家として、また経済史家としてもさらに深く研究されるようになった。そればかりではない。スミスは、法学者であり、社会学者であり、文明史家であるという広い視角から研究されるようになった。このように、人々は今や自由に、大胆に思い思いの視角からスミス像を作り上げようとしているように思われる。
参考文献
- アダム・スミス 高島善哉著 岩波新書
- アダム=スミス 浜林正夫,鈴木亮 共著 清水書院
- 世界の思想家10 アダム・スミス 杉山忠平編