学校運営協議会

出典: Jinkawiki

学校運営協議会(コミュニティ・スクール)は教育委員会が個別に指定する学校ごとに、当該学校の運営に関して協議するために置かれる機関である。

目次

概要

学校、保護者、地域が一緒に協働しながら、子どもの豊かな成長を支えていこうとする地域とともにある学校づくりを進めるための制度。近年の公立学校は、保護者や地域の人々の意見を反映させ、地域に開かれ、信頼される学校づくりを進めていくことが求められている。これまで行われた学校評議員制度や自己評価などの学校運営に関する改善の取り組みをさらに一歩前進させるものとして平成16年6月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により導入された制度である。

学校運営協議会を通じて、保護者や地域の人々が一定の権限と責任をもって学校運営に携わることで、そのニーズを迅速かつ的確に学校運営に反映させ、学校・家庭・地域が一体となってより良い教育もなすために連携して取り組むことを目指す。また、地域の実態に応じて創意工夫し、地域の特色ある学校づくりが推進されることによって、地域全体の活性化も望まれる。

日本で最初にコミュニティ・スクールに指定されたのは東京都足立区の足立区立五反野小学校である。2004年度は五反野小学校を含め全国で4校のコミュニティ・スクールが誕生した。当時は地域の意識が薄まっている日本でコミュニティ・スクール制度の確立は危ぶまれたが、2009年度には30都道府県の478校がコミュニティ・スクールとなり急激な広がりをみせた。

学校運営協議会は合議制の機関であり、法律に基づいて学校運営や教職員の人事について関与する一定の権利が与えられている。校長は学校運営協議会が承認した基本方針にのっとって学校運営を実施する。 学校運営協議会が与えられている一定の権限とは 1)コミュニティ・スクールの運営に関して、教育課程の編成その他教育委員会規則で定める事項について校長が作成する基本的な方針に対しての承認 2)コミュニティ・スクールの運営に関する事項についての教育委員会又は校長に対して意見を述べること 3)コミュニティ・スクールの教職員の採用その他の任用に関する事項について、任命権者(都道府県教育委員会)に対して直接意見を述べること。その意見は任命権者に尊重される。

つまり、校長は学校運営の基本方針について、学校運営協議会と意見が一致せず、承認されない場合、校長は理解を得られるような説明を十分に行い、議論をつくして成案を得るよう最大限の努力をする必要がある。 また、学校運営協議会が教職員の人事に関して意見を述べることができる対象事項は、採用・昇任・転任など学校の教育基本方針を踏まえて実現しようとする教育目標・内容等にかなった教職員の配置をもとめる事項のみである。処分に関する事項は含まれない。

呼称は学校によって様々で委員の数も指定はない。委員の中に保護者と地域住民が含まれていることが条件で、 ほかのメンバーの選出方法も各学校によって異なる。任命は各教育委員会が行う。


足立区立五反野小学校

2004年11月9日、日本で初めてのコミュニティ・スクールに指定される。 五反野小学校の学校運営協議会は学校理事会とよばれる。 地域代表3名、保護者代表3名、学校代表4名、行政代表1名の11人で構成される。委員の任期は2年だが、再任することも可能である。 今までに「学校課程に関する事項」、「学校長の配置計画に関する事項」、「学校予算に関する事項」、「学校経営に関する事項」の4つの審議で、学校運営上変化をもたらしている。 また、理事会と学校の関係や理事会の役割、理事長と校長の専任事項については現在実践中であり、 それぞれの役割について確立を目指している。

五反野小学校の学校理事会は「5つのミッション」を明文化している。「めざす学校像」「地域が望む校長像」「地域が望む教師像」「望まれる家庭像」「望まれる児童像」の5つである。以下は内容である。

「めざす学校像」
1)基礎・基本の確実な定着により、確かな学力を身につける学校
2)教師が生き生き、教師が「自ら学び、自ら考える」学校
3)家庭・地域が教育責任を分担し、心豊かな児童が育つ学校
4)地域の歴史や文化を大切にし、ふるさと五反野を誇れる学校
5)児童・保護者・地域がともにつくる特色ある学校
「地域が望む校長像」
1)五反野小学校の保護者・地域が掲げる「めざす学校像」に共感し、 家庭や地域との信頼関係とパ-トナ-シップに基づく学校運営を行う校長
2)地域参画型学校経営を行う「学校理事会」に賛同し、 新しい学校経営を保護者・地域とともに作り上げようとする意欲をもった校長
3)児童をこよなく愛し、教育に対する献身的な情熱と明確な教育理念をもち、 決めたことには信念をもってやりぬく校長
4)適切な指導力を発揮しつつ、所属職員のモラ-ルアップを図り、その育成に努める校長
5)児童とは常に近い距離を心がけ、可能な限り校内に留まり、 保護者・地域からは相談しやすい雰囲気を保つ親しみやすい校長
6)グロ-バルな視野と理性的な人間性にあわせて、独創的な見識をもって、 21世紀の小学校教育を切り拓いていく校長
「地域が望む教師像」
1)基礎・基本の定着をめざした教育指導
2)意識と技術をもった教員
3)心の教育の実践とカウンセリングマインド
4)自己啓発の実践
5)五反野とのアイデンティティ
「望まれる家庭像」
1)学力づくりの基礎である、生活リズム・健康づくりのできる保護者
2)家庭、学校、社会のそれぞれのル-ルを守らせその「しつけ」ができる保護者
3)安らぎのある楽しい家庭づくりに努める保護者
4)ふるさと五反野を子どもとともに愛し、学校・地域づくりに参加する保護者
「望まれる児童像」
1)学習の大切さがわかり、粘り強く勉強に取り組める子
2)健康的で明るい生活ができる子
3)世の中のル-ルを守り、社会性をもつ子
4)思いやりと優しさの心をもつ子
5)ふるさと五反野を愛し、いつまでもまちを大切にする子

これら5つのミッションを公言し、保護者や地域住民に周知することで理解を深め、 学校・保護者・地域が連携した学校づくりと子どもたちの教育を行っている。


参考文献

渡辺研(2010)「小論文・面接の時事ネタ本 改訂版」学研教育出版

[1]文部科学省HP

[2]足立区立五反野小学校HP


関連項目

[3]コミュニティ・スクール


  人間科学大事典

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