エスペラント語Ⅷ

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 +エスペラント語は国際補助語の一つである。国際補助語というのは、母語や国語の違った人々がお互いに意思疎通をはかるための非自然言語 を指す。英語、フランス語、中国語、ロシア語などは広く使われてはいるが、これらの言語は、それを母語として生活する人々がいる自然言語なので、 国際補助語とは普通は言われない。
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 +  19世紀の末にラザロ・ルドヴィコ・ザメンホフ(1859-1917)という人がいました。ポーランドのユダヤ人の家庭に育った眼科のお医者さんで、言 語学者でもありました。ザメンホフが生きた時代も世界のさまざまな地域で絶えることなく戦争が起こり、抑圧と人権侵害とが蔓延っていたのですが、彼は戦争 を避け平和を長続きさせるためには多くの人々に共通する言語が必要だ、それ用いて人々が国境を越えて話し合い理解し合うことが戦争を避けるために不可欠だ と考えました。そこで人々の国語を越えた共通のことばを作ろうと決心したのでした。それは1887年(明治20年)に自費出版によって公表されました。
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 +  エスペラント語は非常に簡略な文法をもっていて、覚えやすく使い易い人工言語です。とりわけヨーロッパの諸言語を知っている人には学習しやすい、という のは語彙の大多数がラテン語起源であったり、多少の変化はあってもヨーロッパの諸言語に共通するからです。名詞はすべて-oで終わり、形容詞は-aで終わ ります。動詞の活用語尾は現在形(-as)、過去形(-is)、未来形(-os)、仮定形(-us)、命令形(-u)、不定形(-i)などの形をとりま す。一般に動詞の活用形式に例外はありません。日本エスペラント協会が行った検定試験(4級)の試験問題の一部に試しに回答してみましょう。大体の見当は つくのではないでしょうか。
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 +「1.次の単語の意味を書きなさい。 〈20点〉
 +(1) amiko, (2) bela,(3) bona,(4) danki,(5) fali,(6) floro,(7) varma,(8) homo,(9) kapo,(10) lerni
 +2*1.次の語は、名詞、形容詞、副詞、動詞のどれですか。
 +(1) danco ,(2) kvieta ,(3) farus ,(4) rapide 」(答えは下欄)
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 + ザメンホフに共感した人々は1905年にフランスのブローニュ・シュル・メールで第一回のエスペランティスト世界大会を開きました。 日本でもその翌年1906年に日本エスペラント協会JEAが創立されています。しかしエスペラント運動は決して平坦な道を歩んだのではありませんでした。 とりわけ1930年代には、エスペラント運動が大杉栄などが率いる左翼運動にかかわる人々に担われていたので、甚だしい官憲の弾圧を受けました。エスペラ ント語の辞書に別の本のカバーをつけて持ち歩いたものでした(写真、詳細は月刊『言語』2006.11.金子亨「人工言語と自然言語」)。
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 +  しかし第二次世界大戦後もエスペラント運動は発展し続け、今日では日本エスペラント学会(-協会の後継組織)によって毎年大会が開かれています。今年の大 会には300名を越える会員が集まったと言います。世界のエスペランティストは今では200万人とも言われています。さらにエスペランティストの両親に育 てられた子供が両親のエスペラント語を習得してそれを母語として育った人々、つまり、エスペラント語の母語話者も多くいるようです。この人達は第一言語が エスペラント語、第二言語、第三言語がその人をとりまく言語ということになります。
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 +  エスペラント語で挨拶をしてみましょう。簡単な挨拶語をいくつかあげておきます。どうもエスペランティスト同士にしか通じないみたいですね。

2015年8月5日 (水) 15:29の版

エスペラント語

エスペラント語は国際補助語の一つである。国際補助語というのは、母語や国語の違った人々がお互いに意思疎通をはかるための非自然言語 を指す。英語、フランス語、中国語、ロシア語などは広く使われてはいるが、これらの言語は、それを母語として生活する人々がいる自然言語なので、 国際補助語とは普通は言われない。

 19世紀の末にラザロ・ルドヴィコ・ザメンホフ(1859-1917)という人がいました。ポーランドのユダヤ人の家庭に育った眼科のお医者さんで、言 語学者でもありました。ザメンホフが生きた時代も世界のさまざまな地域で絶えることなく戦争が起こり、抑圧と人権侵害とが蔓延っていたのですが、彼は戦争 を避け平和を長続きさせるためには多くの人々に共通する言語が必要だ、それ用いて人々が国境を越えて話し合い理解し合うことが戦争を避けるために不可欠だ と考えました。そこで人々の国語を越えた共通のことばを作ろうと決心したのでした。それは1887年(明治20年)に自費出版によって公表されました。
 エスペラント語は非常に簡略な文法をもっていて、覚えやすく使い易い人工言語です。とりわけヨーロッパの諸言語を知っている人には学習しやすい、という のは語彙の大多数がラテン語起源であったり、多少の変化はあってもヨーロッパの諸言語に共通するからです。名詞はすべて-oで終わり、形容詞は-aで終わ ります。動詞の活用語尾は現在形(-as)、過去形(-is)、未来形(-os)、仮定形(-us)、命令形(-u)、不定形(-i)などの形をとりま す。一般に動詞の活用形式に例外はありません。日本エスペラント協会が行った検定試験(4級)の試験問題の一部に試しに回答してみましょう。大体の見当は つくのではないでしょうか。

「1.次の単語の意味を書きなさい。 〈20点〉 (1) amiko, (2) bela,(3) bona,(4) danki,(5) fali,(6) floro,(7) varma,(8) homo,(9) kapo,(10) lerni 2*1.次の語は、名詞、形容詞、副詞、動詞のどれですか。 (1) danco ,(2) kvieta ,(3) farus ,(4) rapide 」(答えは下欄)

 ザメンホフに共感した人々は1905年にフランスのブローニュ・シュル・メールで第一回のエスペランティスト世界大会を開きました。 日本でもその翌年1906年に日本エスペラント協会JEAが創立されています。しかしエスペラント運動は決して平坦な道を歩んだのではありませんでした。 とりわけ1930年代には、エスペラント運動が大杉栄などが率いる左翼運動にかかわる人々に担われていたので、甚だしい官憲の弾圧を受けました。エスペラ ント語の辞書に別の本のカバーをつけて持ち歩いたものでした(写真、詳細は月刊『言語』2006.11.金子亨「人工言語と自然言語」)。



  しかし第二次世界大戦後もエスペラント運動は発展し続け、今日では日本エスペラント学会(-協会の後継組織)によって毎年大会が開かれています。今年の大 会には300名を越える会員が集まったと言います。世界のエスペランティストは今では200万人とも言われています。さらにエスペランティストの両親に育 てられた子供が両親のエスペラント語を習得してそれを母語として育った人々、つまり、エスペラント語の母語話者も多くいるようです。この人達は第一言語が エスペラント語、第二言語、第三言語がその人をとりまく言語ということになります。

 エスペラント語で挨拶をしてみましょう。簡単な挨拶語をいくつかあげておきます。どうもエスペランティスト同士にしか通じないみたいですね。

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